大盛工業の株主総会に出席しました【2024年10月29日】

株主総会
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大盛工業 第58回定時株主総会

日時:2024年10月29日(火) 10:00-11:00

場所:アートホテル日暮里ラングウッド(日暮里駅徒歩1分)

出席株主数:約20名

お土産:無し

 

企業概要

大盛工業(1844)

HP:株式会社大盛工業|下水道工事、利回り物件の販売、太陽光パネルの活用など (ohmori.co.jp)

①建設工事の受注、施工をおこなう「建設事業」(売上構成比73%)、不動産の売買・賃貸など、太陽光発電設備の販売をおこなう「不動産事業」(売上構成比11%)、OLYリースをおこなう「OLY事業」(売上構成比9%)、NTT局内での保守・管理業務をおこなう「通信関連事業」(売上構成比7%)を運営。

売上の約50%が東京都下水道局と東京都水道局向け。

③使用人数は、86名と少人数体制。

 

株式情報

時価総額:40億円(2024年10月28日時点)

売上高:59.8億円(2024年7月期実績)⇒65.2億円(2025年7月期予想)

株価:217円(2024年10月28日時点)

1株純資産:296円(2024年7月末時点)、PBR:0.73倍

1株当期純利益:18.1円(2025年7月期予想)、PER:11.9倍

1株配当:10円(2025年7月期予想)、配当性向:55%

配当利回り:4.6%

株主数:17,000名

会計基準:日本会計基準

 

株主総会前の事前情報

①国内建設市場においては、国土強靭化計画などに基づく防災・減災対策関連の公共投資が変わらず底堅く推移しており、東京都における上・下水道設備の建設においても、耐震化工事・浸水対策工事などの発注が継続して行われているが、受注競争の熾烈化が増す状況ならびに建設資材、労務費などの建設コスト増加により厳しい経営環境が続いている。

②このような状況の中、当社グループの主力の建設事業においては、完成工事総利益増加に向けた工事施工日数の短縮、工事コスト削減などの徹底を継続するとともに、当連結会計年度に工事の完成が集中したことに伴う手持ち工事数の減少を補填するため、新規工事の受注に注力した。不動産事業においては、手持ち賃貸物件の入居率向上に向けた宣伝、営業活動を継続するとともに、保有不動産の販売についても積極的に展開した。OLY事業については、主要基盤である東北・関東圏における受注・売上増加に向けた営業活動を展開するとともに、関東以南エリアにおける新規顧客の獲得ならびに受注増加を目指し、名古屋OLY営業所を基軸とした営業強化に注力した。通信関連事業においては、売上高および売上総利益の増加を目指し、通信所内設備の保守運用業務の新規管理案件、新たな工種の受注に取り組んだ。以上の結果、売上高は5,981,732千円(前年比1.2%減)、営業利益は621,857千円(前年比37.7%増)、経常利益は595,277千円(前年比37.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は414,329千円(前年比41.3%増)となった。

※OLY工法:当社が独自開発したOLY(鋼製L型山留)を使用して路面覆工工事行う施工方法。当社が受注した工事において使用するほか、路面覆工工事を行う全ての方々に対してOLYを貸出すリース事業を行っている。

 

③建設事業においては、受注高5,466,251千円(前年比40.4%増)、売上高4,338,766千円(前年比1.6%減)、セグメント利益(営業利益)394,599千円(前年比61.1%増)となった。

④不動産事業においては、不動産物件の売却ならびに賃貸収入、クローゼットレンタル事業により売上高676,170千円(前年比19.7%増)、セグメント利益(営業利益)74,048千円(前年比212.6%増)となった。

⑤OLY事業においては、OLY機材のリース販売などにより売上高566,415千円(前年比23.3%減)、セグメント利益(営業利益)97,757千円(前年比27.9%減)となった。

⑥通信関連事業においては、NTT局内の通信回線の保守・管理業務などにより売上高418,279千円(前年比12.1%増)、セグメント利益(営業利益)55,451千円(前年比16.5%増)となった。

⑦建設業界を取り巻く環境は、地球温暖化による豪雨被害の多発、大規模地震発生の懸念などから、国土強靭化に基づく防災・減災対策を確実に進めることが期待される一方、業界全体における技術者および建設労働者不足の問題、建設資材高騰などといった課題を抱えている。また、東京都における上・下水道設備の更新工事、豪雨対策工事などについても、早急な対応が必要なことから、工事の発注は今後も堅調に行われると推測されるものの、受注競争の熾烈化が増す状況から、今後も厳しい経営環境が継続するものと思われる。

⑧このような環境において、当社グループが行う各事業における当面の課題および対応については以下の方針に基づき実施していく予定。建設事業においては、受注工事の施工日数の短縮、工事コスト削減などの工事利益増加に向けた取組みを継続するとともに、収益基盤の拡大に向けた新たな土木事業分野における受注に今後も積極的に取り組んでいく。また、当社グループの技術・経験の確実な継承および事業規模の拡大に向け、サステナビリティ経営における人財の確保、定着に向けた施策を確実に推進するほか、公共工事の安定した受注基盤を持ち、優秀な技術者、施工実績を有する会社のM&Aによるグループ化も並行して行い、完成工事高、完成工事総利益の増加を着実に進めていく。不動産事業における不動産販売、賃貸事業については、不動産事業売上高、不動産事業総利益の増加を目指し、今後も高い利回り、安定した収益が期待される優良物件の取得に努めるとともに、保有物件の販売も並行して行っていく。OLY事業については、受注・売上高の増加に向け、東北・関東圏における一層の営業強化を図るとともに、名古屋OLY営業所を基軸とした関東以南エリアにおける販売強化に今後も注力していく。 通信関連事業については、保守・管理業務の新規案件の獲得、新たな業務の受注に今後も注力し、売上高および売上総利益の増加を目指していく。以上の状況を踏まえ、次期(2025年7月期)の業績の見通しは、売上高6,529,209千円、営業利益458,196千円、経常利益438,901千円、親会社株主に帰属する当期純利益338,578千円を見込んでいる。

⑨当連結会計年度の期首より、従来「不動産事業等」に含めていたOLYリース事業を量的な重要性が増したため、「OLY事業」として独立のセグメントに変更した。 また、「その他」として報告していたクローゼットレンタル事業については、金額的な影響が軽微なことから、「不動産事業」に含めることとした。

⑩PBR値(株価純資産倍率)については1倍を下回る状況が続いており、2013年7月期より前事業年度までの11期連続しての黒字収支の継続、2015年7月期より9期連続して配当が行えているものの、2012年7月期以前における赤字収支および無配の期間があり、過去の経営不振の状況が払拭できていないことが要因と考えている。2012年7月期以前の赤字業績は、建設事業のみに依存した経営に課題があり、この課題を改善するために公共土木工事を主体とした「建設事業」を主軸としつつ、(1)不動産賃貸収益、保有物件の販売により売却益を生み出す「不動産事業」、(2)独自開発した路面覆工工法(OLY工法)に使用する鋼製部材の貸出しによりリース収益を生み出す「OLY事業」、(3)NTT関連収益を生み出す「通信関連事業」の3事業を加えた4本の事業を柱とした経営への転換を図ってきた。しかしながら、これらの効果が発揮されるまでに時間を要していること並びにIRおよびSRの不足などから、事業戦略に関して投資家の皆様から、まだ十分な評価が得られず、その結果としてPBR値が1倍を下回る状況となっているものと分析している。現状の評価を踏まえ、「中期経営計画」の着実な実行と「サステナビリティ経営に関する基本方針」に基づくESG(環境・社会・ガバナンス)へ配慮・注力した「環境・社会・経済」の3つの観点における持続可能な経営を実践し、「経済的価値の向上」および「社会的価値の向上」を図るとともに、「売上高・利益率の向上」、「成長投資の拡充」、「株主還元の強化」を推進し、「ROE値7%以上の安定的達成」および「PBR値1倍以上の達成」を目指していく。

⑪取締役候補者6名中、70歳以上の候補者は山口信廣さん(1948年生まれ、76歳)の1名。役員定年制(一般的には65歳~70歳)を設定して、未来のために次世代育成を進めたほうがよいと思う。

⑫監査等委員である取締役を除く取締役6名の報酬等の総額は10,143万円。単純平均で取締役1人当たり1,690万円。ただし、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まず。
使用人兼務取締役の使用人給与や、子会社などからの報酬も含めた金額が提示された方が、株主から見て実態が分かりやすいと思う。

⑬議案の採決方法は拍手での採決。議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。

 

株主総会での個人メモ

①質疑応答で、「建設業の2024年問題の影響は?」との質問あり。「社内の時間外労働の管理については5年前から取り組んできており、上手く対応できている。工期については影響は無い。協力会社においては厳しい状況があり、当社から協力を進めたい。」との説明。

②質疑応答で、「受注競争が熾烈化しているとのことで、状況を教えて欲しい。」との質問あり。「他地域の会社の参入や、今まで土木系をやっていなかった会社の参入がある。一方で、発注量が減り、価格が下がっている。災害は増えており、上・下水道の工事は無くならないので、工期短縮やコスト削減で対応していく。」との回答。

③質疑応答で、「29億円の借入理由」について質問あり。「不動産購入や土木事業の竣工までの資金立替に使用。不動産については高利回り物件なので経営の安定化に寄与している。利息は3,000万円だが、家賃返済により逆ザヤになっている。」との説明。

④質疑応答で、「東京都から仕事を得られないリスクは?」との質問あり。「入札資格があり、指名されないことは無いと考えてる。予定価格に対して入札価格は低下傾向。」との回答。

⑤質疑応答で、「OLY事業の減収減益理由」について質問あり。「茨城工場で鉄骨生産をおこなっているが、鉄骨以外の製品の生産で外注売上が減った。また、東京と東北の第4四半期の発注量が減少したため。」との説明。

⑥質疑応答で、「バランスシート改善のため、同業他社と資本業務提携を検討した方がよいのでは?」との意見あり。「M&Aや新株発行については、やぶさかではない。」との回答。

⑦質疑応答で、「サウジアラビアなど、海外展開したらどうか?」との意見あり。「規模的に心許なく、資金的にも厳しい。やるとしたら大手ゼネコンとの対応となる。」との説明。

 

株主総会を終えて感じたこと

株価が安値圏であったこと、温暖化による豪雨対策として冠水対策が進められるであろう点、上下水道の老朽化対策も進むだろうとの事業環境面からの考えから平均174円で投資しました。

今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。

質疑応答では、多くの質問が出ていましたが、社長の栗城幹雄さんを中心に穏やかに&丁寧に対応されていました。株主総会終了後に、全取締役から一言挨拶があったのも印象的でした。

2023年3月に、東京証券取引所が「PBR1倍割れの企業に改善要請」を実施しましたが、大盛工業は、1株当たり純資産296円に対し、株価が217円(2024年10月28日時点)、PBR0.73倍と低迷しており、PBR1倍達成に向けた施策が求められます。

2024年7月期については、「受注競争の熾烈化が増す状況ならびに建設資材、労務費などの建設コスト増加により厳しい経営環境が続いている」との説明がある一方で、利益率が改善していた点が目に留まりました。

今期の業績予想については「受注競争の熾烈化が増す状況から、今後も厳しい経営環境が継続する」とのことで減益予想であるものの、どのような着地になるのか注視します。継続保有の予定とし、追加投資も検討します。

 

2023年10月25日に出席した大盛工業の株主総会の内容についてはこちら↓

大盛工業の株主総会に出席しました【2023年10月25日】 | ぽこタンの株主総会日記

 

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