アクリートの株主総会に出席しました【2024年9月30日】

株主総会
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アクリート 臨時株主総会

日時:2024年9月30日(月) 10:00-10:25

場所:ベルサール神保町(九段下駅徒歩3分)

出席株主数:約10名

お土産:社名入りノベルティ(エコバッグ、電子メモ、充電ケーブル、フリクション、クリアファイルなど)

 

企業情報

アクリート(4395)

HP:SMS送信サービスならSMS配信数国内最大規模のアクリート (accrete-inc.com)

①日本国内にてSMS配信サービス、「学校安心メール」や「自治体安心メール」などのメール配信サービスをおこなう「国内メッセージングサービス事業」(売上構成比71%)、ベトナムにてメッセージングサービス事業をおこなう「海外メッセージングサービス事業」(売上構成比29%)を運営。

SMS配信ソリューション事業などを手掛けるファブリカホールディングスが、第2位の株主として、29万株、5.2%を保有。
副社長の田中優成さんが、第4位の株主として、11万株、1.9%を保有。

 

株式情報

時価総額:37億円(2024年9月27日時点)

売上高:54.3億円(2023年12月期実績)⇒73.1億円(2024年12月期予想)

株価:623円(2024年9月27日時点)

1株純資産:312円(2024年6月末時点)、PBR:1.99倍

1株当期純利益:39.3円(2024年12月期予想)、PER:15.8倍

1株配当:無配(2024年12月期予想)、配当性向:無配

配当利回り:無配

株主数:5,134名

会計基準:日本会計基準

 

株主総会での個人メモ

①2024年12月期第2四半期は、売上高は2,598,694千円(前年比5.6%減)、営業利益は85,140千円(前年比65.4%減)となった。経常利益は85,899千円(前年比64.8%減)となり、親会社株主に帰属する中間純利益は60,909千円(前年比62.5%減)となった。当中間連結会計期間は、前年比こそマイナスではあるが、2024年12月期の連結業績予想に対しては計画通りに推移している。

②国内メッセージングサービス事業は、「SMS配信サービス」は、国内SMS市場では競合他社との価格競争による販売単価については下落傾向が続いているが、SMS配信数は対前年比131%と引き続き増加傾向が続いている。今後はSMSやRCS(+メッセージ)とSMS以外の携帯電話番号を活用する多様なキャリアサービスとを組み合わせる取り組みによって事業拡大を進めていく。また、海外SMSアグリゲーター経由でのSMS配信については、前連結会計年度において本格化したサービスへキャリア系大手企業の競合他社参入などによる影響のため、配信数および販売単価について厳しい事業環境が続いている。2023年12月期の第3四半期までに見られたようなペースでの売上・通数減少からは脱しているが、SMS配信数は対2023年第3四半期比98%とほぼ横ばいの状態が続いている。今後はTechownとの取り組みによる事業展開による収益の拡大に取り組んでいく。「メール配信サービス」は、子会社であるテクノミックスにより、安心メールシステムとして、引き続き、学校・PTA・保護者間の連絡をスムーズにおこなうための手段として「学校安心メール」、住民と自治体間の防犯・防災危機管理緊急連絡システム「自治体安心メール」などを展開している。メール配信サービスの利用顧客は、当連結会計年度からは、当社および販売代理店との連携強化による顧客拡大に取り組んでいる。また、AI技術を応用した新たな教育ソフトの取り扱いも検討しており、テクノミックスの持つ営業インフラを活用する戦略による事業展開も計画している。以上の結果、当セグメントの売上高は1,797,131千円(前年比10.6%減)、セグメント利益は109,548千円(前年比56.4%減)となった。

③海外メッセージングサービス事業は、海外展開については、従来からの「アジアのアクリート」という方針は維持しつつ、その内容については業務提携を含むSMS事業の国際化とM&Aによる市場獲得によるものとし、社長室にて管理統括していくこととする。すでにVGSにて事業展開するベトナムに加えて中国の大手SMS事業会社との協業に関しても協議しており、その他のアジア各国においても新経営陣の持つ海外ネットワークを活用して当社の業容拡大を図るべく、プロジェクト・ソリューション単位での営業・提携などを積極的に展開していく計画としている。VGSが事業を展開しているベトナムを含めた東南アジアにおいては、メッセージ手段の多様化に伴い、メッセージングサービスのオムニチャネル化が日本よりも進んでいる状況である。VGSは当期ではCDP(Customer Data Platform)サービスを軸として、ベトナム国内におけるメッセージングサービスのオムニチャネル化を推進し、SMS以外のサービス拡充や他社との提携を推進することにより、事業拡大と収益率向上に取り組んでいる。以上の結果、当セグメントの売上高は801,563千円(前年比7.7%増)、セグメント損失は24,408千円(前年は5,550千円のセグメント損失)となった。

④2024年7月12日に「中期経営計画の修正に関するお知らせ」を公表。今回の中期経営計画修正は、2023年12月期終了時点で、策定時以降の当社の事業に係る事業環境の大きな変化、当社の事業体制の立ち遅れ、それに伴う当該期および中期経営計画の対象期間において、当初の計画値を下回ること、そして踊り場を迎えたSMS市場において、当社の次なる成長戦略を社内外に示すことが必要であるとの判断が修正をおこなう理由。当社はすでに当社としての市場動向に対する見通しの甘さと経営および事業体制の脆弱さにあったことが、計画値の修正の大きな要因であるとして、2024年3月29日開催の定時株主総会にて経営陣を刷新し、新たな経営体制への移行をおこなった。今回の中期経営計画の修正は新経営陣によって当社の現状と新たなビジョンに基づき、おこなわれたものであり、よってこの修正された中期経営計画の着実な達成を図ることとし、当社の新たな「未来」を切り開く礎とするものとしている。当社はSMS事業においては業界のパイオニアとして「通数」において今期もトップシェア争いを続けており、今後も一定のシェアを確保した事業展開は可能であると判断しているが、競争の激化、不安定な国際情勢や社会情勢、それに伴う為替市場の混乱や物価の高騰など、事業環境は大きく変化しており、当社においてもSMS事業での単価の下落は収益を直撃しており、通数の伸びが収益に直結しない事態となっている。こうした事業環境の変化やそれに対する対応策などは前回の中期経営計画では全く想定されておらず、事業リスクに関する管理もおこなわれていない状況であったために、無防備かつ無策であったことが、計画値の未達の大きな要因であり、今回の修正の理由でもある。尚、今回の修正された中期経営計画につづく、2026年以降の経営計画については、当該修正中期経営計画の進捗報告と共に然るべき時期に策定、お知らせする。今回の修正においては新たな企業価値の創造を目指して、SMS事業を1つのセグメントとして設定し、加えてソリューション事業と投資・インキュベーション事業の3つの事業セグメントの設定に修正。

⑤第一の柱であるコミュニケーション(SMSメッセージング)事業では、これまで通りSMS事業における国内メッセージング事業と海外メッセージング事業により構成され、当該事業はテレコミュニケーションサービス全般を対象に事業展開をおこなっていく。2024年6月にはAppleによるiPhoneのRCS(+メッセージ対応)が公表されたが、この発表は国内SMS市場における+メッセージシフトの促進とも考えることができる。また2024年7月16日には出資先であるDigital Platformerとの取り組みとして、分散型IDの発行サービス「SMS-OTP for DID」提供を発表した。今後こうしたツールとしてのSMS採用から脱却した、SMS以外の携帯電話番号を活用する多様なキャリアサービスをSMSやRCS(+メッセージ)と組み合わせる新たな取り組みの展開を図る。それに加え、SMS機能面での充実や、当社がこれまで培ってきた顧客との関係深化と特定業界に特化したソリューションによる事業(パートナーサービスAPI連携)を展開することで、国内SMS市場の新規開拓を加速させていく。また海外アグリゲーター経由の日本向けSMS配信においては、コロナ禍以後に通信キャリアによるSMS市場への直接参入が始まったことで、シェア獲得のための価格面での競争が一層激化している。そのような中、当社は2024年8月6日に「Techown Information Technology Co., Ltd.との業務提携に関するお知らせ」を公表した。SMS事業のアジア地域での国際化を推進する中で、中国の大手SMS通信事業者であるTechownとの業務提携によって同国でのSMSの拡大を推進していく。このように「アジアのアクリート」を標榜した、事業の国際化として従来の方針を継承していく。

⑥第二の柱となるソリューション事業は、生成AIの利用拡大による需要の高まりを受けて新たな次代のアクリートへと転換するための成長因子として、AIをキーワードとしての取り組みを中心としている。「ハード・アンド/プラス・サービス」事業は、昨年期より取り組んできたGPU関連の取引の継続拡大と新たな顧客開拓に取り組んでいる。また、GPUサーバーを含むハードウェアやAIソリューションは、ベンチャー企業のインキュベーションにも活用出来ると考えている。次に「認証&AIソリューション」事業は、これまでの声紋など多要素認証の取り組みは引き続き行う一方、特にAIを使った認証サービスに力を入れており、具体的には海外において実績が出始めている、新たなシステムとしての健康やクレジットに関するスコアリング・認証ソリューション展開、コールセンターでのDX化のためのAIエージェントソリューション、子会社のテクノミックスを通して教育関係AIソリューションなどを取り組みとして検討している。これらの取り組みは準備が整い次第、順次お知らせする。

⑦第三の柱である投資・インキュベーション事業は、次代へ向けた取り組みとして、投資部門を新設し、当社とのシナジーのある技術・テクノロジーを発掘し、それらに対する投融資によって事業面でのアライアンスの一環として機能させ、新たな企業価値創造のキーとして展開していく。有望な開発系やAIベンチャーへの投資を通して、当社での社内活用やインキュベーションをおこなうことで投資先の事業育成支援をおこないつつ、事業収益面での取り込みを目指すような形態で事業展開していく。これまでも当社のソリューションとしてSMSの付帯サービスとなる可能性のある技術の発掘をおこなってきた経緯から既に投資先候補も発掘している。また、これらの事業計画を実現するために組織改編もおこない、2024年8月1日より役付取締役を変更し、代表取締役会長である株本幸二さんを代表取締役社長とし、また経営統括本部本部長を兼任、代表取締役社長である田中優成さんを代表取締役副社長とし、営業統括本部長を兼任することとした。上記2名の社内取締役にて事業推進、コーポレートマネージメントを機動的におこなうための体制移行と展開加速化を目的とし、併せて2024年7月1日には先んじて組織体制の変更によって、アクリートグループ全体の経営企画・経営管理面業務のスピーディかつ効率的な体制強化の準備を開始している。中でも新設の社長室は、成長戦略を担う海外事業及び投資・インキュベーション事業を担当し、中期経営計画を推進するエンジン役の1つを担い、コーポレートガバナンスと経営企画面の強化を補強するように社長直轄で迅速な対応を可能とするように機能させていく。

2024年8月28日の取締役会において、ズノー・メディアソリューションの発行株式の全株式を取得し、子会社化することを決議。ズノー・メディアソリューションは企業のメディア戦略および広告宣伝を一括して展開する新しいクリエイティブエージェンシーであるズノーの子会社であり、最新のマーケティングソリューションを駆使し、「心に響く」プロモーションをワンストップで提供する企業として2013年に設立され、これまで様々なソリューションを顧客に提供してきた企業。マグネット広告・インターネット広告・SEM(SEO/リスティング広告)・Webサイトプロデュース・各種セールスプロモーションを手掛けてきているが、当社が最も評価しているのが高いクリエイティブワークとWebサイトを軸に各種メディアを融合した総合的施策の提案・実施していくクロスメディア部門。当社がソリューション事業を成長因子として新たな収益源として取り組む理由の1つには従来からのSMS配信事業が持つとされる新たな可能性の1つである「プロモーションでの利活用」があり、当社グループ内にそれを引き出せる機能を持つことで、ソリューション事業としての事業収益とSMS配信事業への収益面も含めてシナジー効果が期待できるかである。当社内だけでソリューション事業を展開するには人的資源や組織的な限界もあり、一定の経験と機能を有する別会社での展開の方が、効率的かつ合理的な事業展開が可能と判断し、今回条件を満たす企業としてズノー・メディアソリューションを選択し、子会社化することとした。ズノー・メディアソリューションの大きな魅力は人的リソースとビジネスネットワークであり、また発想力と行動力・フットワークの良さもまた数字に表れないビジネスアセットであると考えている。これらは今、当社にとって最も必要なものであり、当社の将来を左右する大きなカギとなるものとも考えている。また、今回の株式取得により、当社はズノー・メディアソリューションの発行済株式の100%を保有することとなるために当然、連結対象子会社となるので、ズノー・メディアソリューションの既存事業収益が当社の業績へ寄与することになる。これも今回の子会社化を決断した理由の1つ。今回ズノー・メディアソリューションが当社グループ会社となることは当社が目指す「次代に向けたアクリートへの転換」をより迅速に達成する1つのキーとなり得るものとして、また今後策定予定の新・中期経営計画においてもズノー・メディアソリューションの果たす役割は大きなものになると期待している。

2024年8月28日の取締役会において、「音声・顔画像分析サービス」などのAI技術を活用した新たな事業を、本日取締役会で決議し、ズノー・メディアソリューションにより開始することを決議。当社は「中期経営計画の修正」において「新たな収益源となる新規事業」と想定し、「新たな次代のアクリートへの転換の為の成長因子」としての位置づけたソリューション事業の1つとして「音声・顔画像分析サービス」などのAI技術を活用した事業を展開することとした。これは昨年度から取り組んでいる「認証」関連事業の一環として、認証関連技術において高い知見と実績、製品等を持つ、CustintCo Pte. Ltd.(本社:シンガポール共和国)との取り組みにより実現した事業。当該サービスはCustintCoが提供する音声・顔画像分析サービスを当社およびズノー・メディアソリューションがOEM供給を受け、自社製品「ANOTHERAI(アナザーアイ)」として販売を開始する計画であり、「認証」技術の応用で市場性の高い、価格的にもリーズナブルなプライスレンジを実現した製品となっており、昨年度来、取り組んできた「認証」系商品と比較すると市場への導入は、価格面、対象顧客の幅を考慮した場合に、より容易であると判断している。この「ANOTHERAI」はAI・行動科学を活用して、音声および顔画像からそれぞれ個人の信用度および健康状態を分析するサービス。「ANOTHERAI」の音声分析は、従来からの音声認識、感情分析とは異なり、生体指標である韻律波(発話のリズム、強勢、イントネーションなど)を抽出、分析することで、言葉の内容および言語に依存しない個人の信用度を引き出すことを試みるサービスとなっている。現在、CustintCoでは、個人の信用情報が比較的不足している発展途上国において、金融業界における融資の判定や人材採用における性格判定などに用いている。「ANOTHERAI」の顔画像分析は、パソコンやスマートフォンのカメラによる簡易な撮影から得られた顔画像から、脳卒中などの心血管疾患系のリスク、心拍数、血圧、呼吸数を測定できるサービス。「ANOTHERAI」専用の測定機器が不要であり、これまでに保険加入時の判定や遠隔医療においての利用実績がある。今回はCustintCoからのOEM供給により、日本での市場性や国民性などを考慮した当社独自の製品として「ANOTHERAI」を商品化していくことで、自社の営業資産である5,000社の顧客を中心に、効率的な事業展開を目指しており、また「ANOTHERAI」導入に適した新たな企業や業界への販売により、新たな顧客獲得にもつながるものと考えている。

⑩質疑応答で、「子会社化したズノー・メディアソリューションの元親会社のズノーの取締役が取締候補者となっているが、今後、ズノーとの資本関係や業務提携についてどのように考えているのか?」との質問あり。「取締役候補者の高瀬真尚さん、飯島敬生さんはズノーの取締役であると共にズノー・メディアソリューションの取締役でもある。山本敏晴さんには管理本部を担当してもらう。ズノーはマーケティングに強みがあり、ズノーと取り組みを強化していきたい。」との旨の説明。

⑪質疑応答で、「石破政権となることにより、アクリートとしてチャンスや懸念されることがあれば教えて欲しい。」との質問あり。「中国との関係が安定すると期待して、Techown Information Technology Co., Ltd.との協業を伸ばしていきたい。成長路線をしっかりと対応して欲しいと期待している。」との旨の回答。

⑫監査等委員である取締役と社外取締役を除く取締役5名の報酬等の総額は5,891万円。2023年3月に退任した2名をそれぞれ3ヵ月分、2023年3月に就任した1名を9ヶ月分として計算すると、単純平均で取締役1人当たり1,812万円。

⑬議案の採決方法は拍手での採決。議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。

 

株主総会を終えて感じたこと

株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。

質疑応答では、社長の株本幸二さんが、丁寧に&冷静に回答されていた様子が印象的でした。

M&Aなど成長のために資金が必要なグロース企業でありながら、今期は無配予想ではあるものの、中途半端に配当を実施していた点が気になっていました。まずは、今後提示される新中期経営計画の内容を確認したいと思います。

経営陣が危機感を持って経営改革をおこなっている過渡期であり、ズノーとの関係についても今後進展があるようにも思え、継続注視します。

 

株主総会会場のベルサール神保町
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