イー・ロジット 臨時株主総会
日時:2024年9月18日(水) 13:00-14:30
場所:東芝万世橋ビル(秋葉原駅徒歩4分)
出席株主数:約10名
お土産:無し
企業情報
イー・ロジット(9327)
HP:デジタルフォーメーションのEC事業支援・BPOサービス|株式会社イー・ロジット (e-logit.com)
①ECフルフィルメントのBPOサービス事業者として、フルフィルメントサービス、EC事業戦略、マーケティング支援のほか、EC物流コンサルティング、人材育成サービスなどの提供をおこなう「BPOサービス事業」(売上構成比98%)を中心に、ファシリティ事業者として、福祉施設、店舗、集合住宅などの建設工事や、解体工事、原状回復工事、部分施工などの建設工事一式に加え、オフィスや福祉施設などの内装工事など、取引先の新装・移転・リニューアル・レイアウト変更時のオフィスデザインなどだけでなく、物件探しや備品什器の手配代行まで新装・移転のトータルソリューションとしてサービスの提供をおこなう「ファシリティ事業」(売上構成比2%)を運営。
②筆頭株主は、会長の角井亮一さんの資産管理会社のプログレスで、角井亮一さん個人での保有分も含めると、116万株、31.1%を保有。
会長の角井亮一さんの親族が代表を務める光輝物流が、第3位の株主として、36万株、9.7%を保有。
アルバイト紹介や給与管理代行などを手掛けるフルキャストホールディングス(4848)が、第8位の株主として、9万株、2.4%を保有。
株式情報
時価総額:12億円(2024年9月17日時点)
売上高:131億円(2024年3月期実績)⇒95.0億円(2025年3月期予想)
株価:340円(2024年9月17日時点)
1株純資産:▲85.1円(2024年6月末時点)、PBR:債務超過
1株当期純利益:▲61.3円(2025年3月期予想)、PER:赤字
1株配当:無配(2025年3月期予想)、配当性向:無配
配当利回り:無配
株主数:1,701名
会計基準:日本会計基準
株主総会での個人メモ
①臨時株主総会開催の背景と収益改善策については、社長の谷辻昌也さんから説明があり、議案の説明と質疑応答については、会長の角井亮一さんが対応されていた。
②当社が事業を展開するEコマース業界は急速な市場拡大を遂げており、ロジスティックスの出荷数や在庫過多などの流通上の課題を抱えていることや解決のプロセスもより複雑化しているため、EC事業全体の戦略見直しや提案力が求められている。これらに対応すべく当社では、クラウドビッグデータを基盤にした、当社のWMSなどの社内システムにある貴重な情報資産を活用したBIレポートや分析レポートを導入するなど、DX推進の取り組みを強化している。分析力を強化して、顧客企業視点での課題の把握および改善提案をおこなうことにより、顧客企業と伴走し、顧客企業のEC事業成功を支援する真のBPOパートナーとしての成長を目指していく。
③2025年3月期第1四半期累計期間の売上高は概ね順調に推移し、3,004,503千円(前年比1.2%減)となった。販売費及び一般管理費については、人員数の最適化を図ったことなどによる人件費および採用費の削減や、活動諸費用の見直しなど経費削減を推進し、171,062千円(前年比25.4%減)となった。 以上の結果、営業損失は40,302千円(前年は営業損失78,398千円)、経常損失は35,610千円(前年は経常損失76,989千円)となった。さらに、投資有価証券売却益4,927千円を特別利益に計上し、税引前四半期純損失は32,326千円(前年は税引前四半期純損失81,224千円)、四半期純損失は30,995千円(前年は四半期純損失81,274千円)となった。
④報告セグメントを従来「BPOサービス事業」および「ファシリティ事業」の2区分としていたが、当第1四半期会計期間より「BPOサービス事業」の単一セグメントに変更。
⑤2024年3月期まで3期連続して営業損失を計上し、2024年3月期末において債務超過になるとともに現金及び預金が大幅に減少した。当第1四半期累計期間においても営業損失、経常損失および四半期純損失を計上している状況から、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在。
⑥2024年6月25日の取締役会において、当社事業所の一部(習志野フルフィルメントセンター)を閉鎖することを決議。業績の早期改善に向けた施策の一環として固定費の削減を推進しており、固定費の中でも比率の大きい賃借料の削減を図るため、フルフィルメントセンターの坪数の適正化を推進しており、2024年3月22日公表の2拠点の閉鎖に加えて、さらに1拠点を閉鎖することとした。閉鎖予定のフルフィルメントセンターで現在おこなっている業務については、パートナー企業との協業の可能性の検討および既存の他のフルフィルメントセンターに移管するなど、経営資源を集約して業務効率の一層の改善と経費削減に努め、早期の収益性の改善を目指している。
⑦当社は、2024年3月期において、減損損失960百万円、事業所閉鎖損失引当金繰入額362百万円などを計上し、親会社株主に帰属する当期純損失2,466百万円を計上した結果、1,066百万円の債務超過となり、2024年3月末時点において東京証券取引所が定める「純資産の額」に係る上場維持基準に抵触している。純資産の額基準について、次の基準日である2025年3月31日までに適合(純資産の額が正となる)見込みである旨の開示ができなかった場合には、東京証券取引所より監理銘柄(確認中)に指定され、2025年3月期の有価証券報告書に掲載される財務諸表の内容を踏まえた東京証券取引所からの適合判定の結果、純資産の額基準に適合している状況が確認されなかった場合には、整理銘柄に指定された後、当社株式は上場廃止となる。
⑧2024年8月19日の取締役会において、2024年9月18日開催予定の臨時株主総会で関連する議案が承認されることを条件として、第三者割当による新株式の発行および第三者割当による第7回新株予約権の発行をおこなうことについて決議。新株式は、払込期日を2024年9月19日とし、1株180円で、豊田Holdingsに1,680,000株、G FUTURE FUND1号に1,120,000株を発行し、5.0億円調達。第7回新株予約権は、割当日を2024年9月19日とし、行使価額を1株180円で、豊田Holdingsに4,200,000株、G FUTURE FUND1号に2,800,000個を割当、12.7億円調達。
⑨2024年8月19日の取締役会において、2024年9月18日開催予定の臨時株主総会での承認を前提として、監査等委員会設置会社へ移行することを決議。取締役会の監督機能を強化し、コーポレート・ガバナンスを強化することにより、常に顧客視点で変化を先取りし、Eコマースの進化に貢献できる企業体を目指し、経営の透明性を一層向上させるとともに意思決定のさらなる迅速化を実現することを目的。
⑩質疑応答で、「固定費の削減などではなく、今後何をしようとしているのか具体的な内容が聞きたい。」「売上や利益の増減について、決算説明資料でその要因について説明が足りていない。」など、IRの情報開示姿勢について複数の意見あり。「開示情報が少なすぎるとの指摘もあるので、多くの指標を開示していきたい。」との回答。
⑪質疑応答で、「債務超過となった経営の失敗について総括して欲しい。」との意見あり。「コロナ特需の際にパラダイムシフトが起きたと思い、倉庫を過剰に借りてしまった。その後、処分するスピードが遅かった。」との説明。
⑫質疑応答で、「公募価格は1,500円。現在の株価は330円程度。今回の第三者割当増資の価格は180円。今後、株価が180円に向けて下がりそう。従業員持株会で購入している従業員がかわいそう。」との意見あり。
⑬質疑応答で、「監査等委員会設置会社への移行メリットは?アビスジャパン買収時のデューデリジェンスの失敗を繰り返さないように手を打ったということか?」との質問あり。「監査等委員会設置会社となることにより、監査等委員である取締役にも取締役会で議決権が付与される。ブレーキという面でガバナンスの強化につながる。」との説明。
⑭質疑応答で、「BPO事業について具体的な説明が無い。他社に対する差別化や強みは?」との質問あり。「ECの上流部分も含めたサービス。物流のオペレーションの自動化がポイント。さらにジーエフホールディングスとのシナジーで差別化を図る。」との回答。
⑮質疑応答で、「BPO事業でベンチマークしている企業は?」との質問あり。「スクロール、SBSホールディングス」との説明。
⑯質疑応答で、「今回、新たに取締役を3人迎えるので、経営の失敗を総括する良いタイミング。ゼロからやり直して欲しい。」「客先のニーズを良く分析して経営にあたって欲しい。」との意見あり。
⑰質疑応答で、「赤字で債務超過。第三者割当増資で資金調達をしている。止血しようとしている中、役員報酬が取締役3名で6,700万円。1人当たり2,250万円となっており、役員報酬が高すぎる。黒字の同業他社に比べても高い。業績に応じて、結果責任として減額すべき。」との意見あり。「数字は出せないが経営責任に応じて減額している。」との回答。
⑱質疑応答で、「会計監査人としてアルファ監査法人を選定した理由は?」との質問あり。「監査法人和宏事務所は、人的リソース不足で対応いただけないことになった。監査役で対応を協議し、アルファ監査法人の提案があった。」との説明。
⑲監査等委員である取締役(補欠)を含む取締役候補者11名中、70歳以上の候補者は秋元征紘さん(1944年生まれ、80歳)の1名。役員定年制(一般的には65歳~70歳)を設定して、未来のために次世代育成を進めたほうがよいと思う。
⑳社外取締役を除く取締役3名の報酬等の総額は6,757万円。2023年6月に就任した1名を9ヶ月分として計算すると、単純平均で取締役1人当たり2,457万円。使用人兼務取締役の使用人分給与は含まず。
使用人兼務取締役の使用人給与や、子会社からの報酬も含めた金額が提示された方が、株主から見て実態が分かりやすくなると思う。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。
質疑応答では、多くの質問や意見が出ていましたが、厳しい意見に対しても会長の角井亮一さんを中心に穏やかに冷静に回答対応をされていました。
業績については、2024年3月期まで3期連続で赤字となり、今期も赤字が見込まれ、債務超過となっており、第三者割当による新株式の発行および第三者割当による第7回新株予約権の発行にて資金調達をおこなうものの、現時点で上場維持基準に抵触している厳しい状況です。
質疑応答でも指摘がありましたが、固定費の大幅な削減を掲げる一方で、2024年3月期の社外取締役を除く取締役3名の報酬等の総額は6,757万円と高額で、今期は減額しているとの説明がありましたが、危機感が乏しいように思えます。
第三者割当増資の価格が180円なので、今後の株価の推移が気になりますが、豊田Holdingsが筆頭株主となることで、会社が変わる過渡期になるとも思われ、今後の動向を注視します。