いちごオフィスリートの投資主総会に出席しました【2024年7月20日】

株主総会
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いちごオフィスリート 第15回投資主総会

日時:2024年7月20日(土) 10:00-12:00(投資主総会+運用状況報告会)

場所:第一ホテル東京(新橋駅徒歩2分)

出席株主数:約40名

お土産:いちごの社名入りノート、ペットボトルのお茶の配布あり

 

投資法人情報

いちごオフィスリート(8975)

HP:いちごオフィスリート投資法人 (ichigo-office.co.jp)

①主に東京都を中心にその他首都圏および全国の主要都市(政令指定都市および県庁所在地など)に所在する主たる用途がオフィスである不動産および不動産を信託する信託の受益権など、ならびにこれらに関連する不動産対応証券への投資をおこなう。スポンサーはいちご(2337)。

筆頭投資主は、いちごトラスト・ピーティーイー・リミテッドで、子会社でスポンサーのいちごの保有分も含めると、53.3万口、35.2%を保有。

③投資主優待(4月末、10月末)
1口:Jリーグの試合チケット(抽選式)

 

REIT情報

時価総額:1,290億円(2024年7月19日時点)

営業収益:159億円(2023年10月期+2024年4月期実績)⇒174億円(2024年10月期+2025年4月期予想)

投資口価格:83,000円(2024年7月19日時点)

1口NAV:100,189円(2024年4月末時点)、NAV倍率:0.82倍

NOI利回り:5.4%(2024年4月末時点、取得価額ベース)

1口分配金:4,785円(2024年10月期+2025年4月期予想)

分配金利回り:5.7%

投資主数:19,997名

 

投資主総会での個人メモ

①投資主総会終了後、資産運用会社であるいちご投資顧問による運用状況報告会が開催。運用状況報告会は、いちご投資顧問の社長の岩井裕志さんが説明。

②2024年4月期は、神奈川県鎌倉市内のオフィスビル1物件について鑑定評価額を超える金額で売却をおこなった。売却した神奈川県鎌倉市内のオフィスビルは主要テナントであるメガバンクの銀行店舗が退去したものの、当該退去区画の一部については本投資法人の資産運用会社であるいちご投資顧問のリーシング活動により比較的短期間でテナントが決定し、立地などの他にそれらの点も評価され売却が実現出来たもの。加えて、東京都千代田区のオフィスビル1物件を想定帳簿価格の2.7倍、直近の鑑定評価額の1.7倍の価格で売却する契約を締結した。本物件の代金決済は2024年10月31日の予定。また、内部成長では、保有物件における「心築(しんちく)による価値向上と投資効率の追求」、「テナント満足度を重視した収益性の安定維持、向上」を主要なアクションプランとし、着実な内部成長への取り組みを継続している。特に「心築による価値向上」を加速するために、2023年11月にスポンサーであるいちごを割当先とした投資法人債を発行して価値創造CAPEX資金3.5億円を調達した。今後も安定的かつ収益成長が見込める中規模オフィスに特化したポートフォリオ構築および運用資産の着実な成長を目指していく。

※心築(しんちく):いちごの不動産技術とノウハウを活用し、一つ一つの不動産に心を込めた丁寧な価値向上を図り、現存不動産に新しい価値を創造することをいい、日本における「100年不動産」の実現を目指している。

 

③事業用不動産の投資環境は、新型コロナウイルス感染症の収束とともに、経済社会活動はほぼ正常化に向かいつつあり、今後の好転が期待される状況。一方、世界的な金利上昇やウクライナ侵攻、中東紛争問題などの影響もあり、一部の海外投資家の中には投資姿勢の見直しをおこなっている先も散見される。日本国内でも2024年3月における日銀の金融政策の変更もあり、今後の金融環境については注視が必要であると思われる。ただし、そのような環境下にありながらも日本国内では引き続き海外と比較して相対的な低金利や円安が後押しとなり、引き続き旺盛な投資需要は続いており、取引価格も高値圏で推移するとともに、取引実績も好調な状況が続いている。オフィスビルの取引についても、引き続き低水準の利回りで推移しており、今後もこの状況が当面続くものと予測される。一方で、立地により空室率の上昇や新規賃料の下落など、注視すべき状況もあり、今後の投資環境に変化が見られることも考えられる。東京都心の中心部では、価格上昇を受け投資機会が限られてきており、また、企業のオフィスへの考え方や働き方の変化も受け、地方都市への投資にも関心が続いており、主要な地方都市の価格も高止まりしている状況にある。更には環境・社会問題に対する世界的な関心の高まりを背景に、不動産分野においても、ESG配慮の動きが一層加速することも予想され、投資における重要な要素となりつつある。本投資法人では、このような様々な市場環境の変化を注視しながら、今後も中長期にわたり安定した収益が見込める中規模オフィスを選別して投資対象を検討していく。

④当期においては、ポートフォリオ全体のNOIの向上を重視し、賃料水準、稼働率なども考慮の上、個別物件の収益力に繋がる継続的な心築としてのCAPEX実施やテナントニーズに合わせた各種サービス施策を継続して推進した結果、当期末稼働率は96.6%となり、前期末稼働率を若干下回るものの、安定した水準を達成している。既存物件については、サステナブルな社会の実現、脱炭素社会への移行を目的とする国際的イニシアティブ「RE100」の主旨に鑑み、保有物件(共有・区分を除く)における消費電力の再生可能エネルギーを使用しCO2を排出しない運用を継続しており、LED化などの省エネ施策も順調に進めている。また、築年数の経過したいちご大船ビルについて鑑定評価額を超える金額で売却しその譲渡益を投資主に分配しポートフォリオの質の向上を図り、当期末(2024年4月30日現在)の運用資産は、物件総数87物件、取得価格合計210,422百万円となった。

⑤当期においては、2024年2月に返済期限の到来する借入金(合計900百万円)の返済資金として、同月に既存取引銀行からの借入れ(合計900百万円)をおこなった。また、2024年4月に返済期限の到来する借入金(合計2,000百万円)の返済資金として、合計2,000百万円の借入れをおこなった。また、価値創造CAPEX(資本的支出)の実施を資金使途として、2023年11月にスポンサーであるいちごを割当先とした期限前償還条項付無担保投資法人債(劣後特約付及び適格機関投資家限定)350百万円を発行した。当期においても安定的な財務基盤の構築のため、返済期限の分散化並びに金利動向を注視し調達をおこなってきた。

⑥上記の運用の結果、当期の実績として営業収益8,068百万円、営業利益4,094百万円、経常利益3,323百万円、当期純利益3,323百万円を計上した。分配金については、本投資法人の規約第37条に定める金銭の分配の方針に基づき、租税特別措置法に規定される「配当可能利益の額」の100分の90に相当する金額を超えるものとしている。本投資法人は、任意積立金として一時差異等調整積立金及び配当積立金を有している。これらの任意積立金のうち、一時差異等調整積立金は、2015年度改正の「不動産投資信託及び不動産投資法人に関する規則」に基づき毎期105百万円以上を取り崩す。また、配当積立金は同様に分配金水準の安定化の観点からキャッシュ・フローを考慮した上で取り崩すことがある。一方で、運用資産の維持又は価値向上に必要と認められる長期修繕積立金、支払準備金、一時差異等調整積立金、圧縮積立金、分配準備積立金並びにこれらに類する積立金および引当金などのほか必要な金額を分配可能金額から積み立て、又は留保その他の処理をおこなうことができる。当期の分配金は、当期未処分利益3,324百万円に、一時差異等調整積立金取崩額として105百万円を加算した金額3,429百万円に対して、不動産等売却益の内、導管性要件を満たす範囲内で101百万円を配当積立金として積立てた上で、投資口1口当たり分配金が1円未満となる端数部分を除く全額3,327百万円を利益分配金として分配することとした。この結果、投資口1口当たり分配金を2,199円とした。

⑦新規物件取得(外部成長)について、東京都心を中心に、その他首都圏、政令指定都市および県庁所在地などに立地する不動産などで、主たる用途がオフィスである不動産などおよびこれに関連する不動産対応証券を主な投資対象とする。特に中規模オフィスは、安定性と成長性の両面が見込めることに加え、物件数の多さから流動性が高く、市況に応じた機動的なポートフォリオの組替えも可能であるため、収益の安定性を確保しながら成長性を重視した中規模オフィスに特化したポートフォリオ構築をおこなう。物件の取得にあたっては、本資産運用会社の独自ネットワークによる情報を活用し、良質な投資情報の早期入手や、相対取引の促進を図る。また、外部のブリッジファンドや、スポンサーサポート契約に基づくいちごによるウェアハウジング機能などを活用しながら、着実な外部成長を推進する。一方で、保有物件のうち、内部成長余地が限定的な物件は売却を検討し、資産の入替によるポートフォリオの質の向上を図る。

⑧心築による価値向上(内部成長)においては、個別物件の収益力強化に繋がる施策を積極的に推進し、強固なポートフォリオの構築とともに、持続的成長を徹底追求していく。この心築による価値向上を加速するために、スポンサーであるいちごを割当先とした投資法人債を発行し、資金調達をおこなっている。

財務戦略について、既存借入金のリファイナンスについては借入金利の固定化、借入期間の長期化・分散化を図り、不安定な社会情勢による金利上昇を踏まえた資金調達を検討する。また、日本格付研究所より取得している長期発行体格付は現状のA+(格付けの見通し:安定的)から更なる向上を目指し、投資法人債などによる資金調達の多様化を図りつつ、本投資法人の財務基盤の強化およびキャッシュ・フローの拡大を進めていく。

⑩2024年10月期および2025年4月期の運用状況の見通しは、営業収益17,496百万円、営業利益9,049百万円、経常利益7,231百万円、当期純利益7,230百万円。

都心6区の賃料単価上昇が、全物件の賃料単価上昇をけん引。新規成約と契約改定による賃料単価の上昇が、稼働率低下の影響を上回る。新規成約の約80%が増額入替(従前賃料比)。既存テナント賃料は、増額改定の割合が増加、減額改定はなし。

⑫質疑応答で、「第8号議案に、「今後の規模拡大を見据えて」との記載があるが、今後の拡大計画は?」との質問あり。「具体的には定めていない。スポンサー企業で物件を多く抱えているので、タイミングを見て対応していく。」との回答。

⑬質疑応答で、「第2号議案に、「被合併時」との記載があるが、具体的に合併が想定されている状況なのか?」との質問あり。「仮に合併がなされた場合の規定なので、今時点、そのような話は無い。資産運用会社が変更となる場合の規定。」との説明。

⑭質疑応答で、「昨年、スターアジアの子会社であるバークレー・グローバルから株主提案があり臨時投資主総会が開催されたが、臨時投資主総会後、スターアジア側と何か話はあるのか?」との質問あり。「臨時投資主総会後は、やり取りは無い。」との回答。

⑮質疑応答で、「日経平均、TOPIXに比べてリートが伸び悩んでいる理由をどう見ているのか?」との質問あり。「リートは軟調な状況が続いている。今後の金利の動向が不透明。機関投資家から資金が入らない。株式投資との需給の問題もある。不動産市況としては問題は無い。現状、リートは機関投資家が主体だが、新NISAによる個人投資家もKEYになっていく。分配金が魅力になると思っている。」との旨の説明。

⑯質疑応答で、「スターアジアに狙われたのは、NAV倍率が低いからでは?」との質問あり。「簿価と時価の差が大きいが評価されない。今は、ホテル系が評価をされている。他社リートもNAV1倍割れが多い状況。NAV倍率1倍を超えるように努力していかなければならない。」との回答。

⑰質疑応答で、「賃料改定状況は?」との質問あり。「退去入替は、8割で増額対応実施し、賃料25%アップした。更新改定は、14%くらいが増額でき、賃料13%アップできた。」との説明。「市場では都心5区だと平均賃料単価が20,000円/坪くらいだが、いちごオフィスリートは都心6区で平均賃料単価18,300円/坪であり、価格競争力がある。」との説明もあり。

⑱質疑応答で、「金利上昇が不動産市況に与える影響は?」との質問あり。「円安、日本国内の金利の安さ、賃料がアップ傾向であり、海外から日本の成長が期待され特に東京が強い。国内金利上昇もコントロールされている。そんなに心配する状況ではないが、借入金利の固定化&長期化(平均借入金利0.92%、平均借入期間7.1年、金利固定化率95.0%)により、リスク管理している。」との回答。

⑲質疑応答で、「不動産サイクルの説明があったが、現時点、不動産サイクルのどのあたりなのか?」との質問あり。「不動産サイクルを時計に例え、12時から6時に向かい不動産市況が下がり、6時から12に向かい不動産市況が上がるとするならば、リーマンショック時は6時。今は12時かどうか読みにくいが、上の方にあるのは確か。インフレが起こると賃料などは上がるが、どう動くのか見えない。ただ、下がることは無さそう。」との説明。

⑳議案の採決方法は拍手での採決。議決権の過半数を保有する大投資主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが投資主総会に出席している投資主から見て納得感がある。

 

投資主総会を終えて感じたこと

投資主総会時点、REITは未保有ですが、今回、実際に執行役員を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、運用会社の雰囲気を感じられたことが投資主総会に参加した大きなメリットでした。

今回、投資主が出席しやすい土曜日開催なのは好印象でした。また、質疑応答については、投資主総会では執行役員の千葉恵介さんを中心に、運用状況報告会ではいちご投資顧問の社長の岩井裕志さんを中心に丁寧な回答対応がありました。

 

なお、Jリート全般に対する印象として、現状、分配金利回りは良いものの、下記5点の特徴が良くも悪くも気になります。

①Jリート投資法人が配当可能な利益の90%以上を分配する場合は、分配金が税務上の損金として算入されるため、法人税が実質無税となる。ただし、負ののれんと物件の売却益を分配可能利益から控除でき、一部の資金を内部留保することはできる。

②Jリート投資法人が税制優遇を受けるために利益の90%以上を分配金としている。結果、内部留保が薄く、得た利益を成長投資へ充てることが難しく、NAVについては長期的に見てインフレ率以上のが成長が見込みづらい。そのため、投資口価格についても長期的にはインフレ率以上の成長は見込みづらい。

③Jリート投資法人が税制優遇を受けるために利益の90%以上を分配金としている。結果、内部留保が薄く、得た利益を成長投資へ充てることが難しく、規模拡大(スポンサー企業の出口戦略に継続して対応)するためには、第三者割当増資や借入などに頼らざるを得ない。特に、NAV倍率1倍割れでの第三者割当増資は、既存投資主から見ると悪条件に見える。

④Jリート投資法人が利益の90%以上を分配金とし税制優遇を受けているため、通常の法人税がかかる状態に比べて、過剰な不動産投資需要が生まれている。結果、不動産市場の歪みの要因になっているように見える。

⑤スポンサー企業がJリートへ不動産を拠出をする事が多い。スポンサー企業から見ると、Jリートへ不動産を拠出する際にJリートから売却手数料を得られ、Jリートの運用会社としてもJリートから不動産取得手数料を得られ、さらにJリートから管理手数料も得られる。また、Jリート投資法人の税制優遇の恩恵(不動産投資需要の創出)も考慮すると、スポンサー企業のためにあるようなビジネスモデルに見える。スポンサー企業の出口戦略となっているように見える。

 

Jリート全般として、構造的な問題が見え隠れしますが、インカムゲイン狙いとして安定した分配金は魅力的です。何かしらの要因で一時的に空室率が上がり投資口価格が下落した局面や、インフレなどにより保有物件の大幅な値上がりや賃料アップが期待でき、投資口価格の上昇も期待できそうな局面などで、キャピタルゲインも狙い再投資を検討します。

国内金利上昇の影響も気になりますが、スポンサー企業のいちごへ投資を検討する際の参考にもします。

 

投資主総会会場の第一ホテル東京
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