トーセイ・リートの投資主総会に出席しました【2024年7月18日】

株主総会
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トーセイ・リート 第6回投資主総会

日時:2024年7月18日(木) 10:30-11:50(投資主総会+運用状況報告会)

場所:トーセイホテルココネ築地銀座プレミア(築地市場駅徒歩5分)

出席株主数:約30名

お土産:トーセイ・リート名入りのクリアファイルとフリクションボール3、ミネラルウォーターの配布あり

 

投資法人情報

トーセイ・リート(3451)

HP:トーセイ・リート投資法人 (tosei-reit.co.jp)

中小規模のオフィス、商業施設、住宅および物流施設をボリュームゾーンの不動産と位置付け、主に東京経済圏に所在する不動産を投資対象として、相対的に高い利回りが期待できる物件への投資をおこなう。スポンサーはトーセイ(8923)。

②筆頭投資主は、スポンサーのトーセイで、5.5万口、15.1%を保有。

 

REIT情報

時価総額:525億円(2024年7月17日時点)

営業収益:70.9億円(2023年10月期+2024年4月期実績)⇒72.4億円(2024年10月期+2025年4月期予想)

投資口価格:139,600円(2024年7月17日時点)

1口NAV:153,668円(2024年4月末時点)、NAV倍率:0.90倍

NOI利回り:5.7%(2024年4月末時点、鑑定価額ベース)

1口分配金:7,420円(2024年10月期+2025年4月期予想)

分配金利回り:5.3%

投資主数:17,693名

 

投資主総会での個人メモ

①投資主総会終了後、資産運用会社であるトーセイ・アセット・アドバイザーズによる運用状況報告会が開催。運用状況報告会は、トーセイ・リートの執行役員の大河内幸貴さんが、トーセイ・アセット・アドバイザーズのREIT運用本部長として説明。

不動産投資市場においては、世界的な金融引き締めによる影響もあり、一部海外投資家の投資意欲に変化がみられるものの、優良な投資物件に対する国内外投資家の不動産取得意欲は衰えておらず、依然として不動産価格は高値圏での推移が続いている。

③不動産賃貸市場においては、東京経済圏(東京都、神奈川県、埼玉県および千葉県)、とりわけ都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区および渋谷区)におけるオフィスは、新規供給による需給バランスの緩みもあり、空室率は比較的高い水準で推移したが、足元では企業収益の改善や出社率の上昇により、拡張移転や館内増床の動きも顕在化し、空室率は緩やかに低下している。堅調なオフィス需要を背景に賃料水準についても下落に歯止めがかかり、賃料を引き上げる動きが増え、全体の水準を底上げした。東京経済圏における賃貸住宅については、都心部への人口流入の動きを背景に、足元での空室率は概ね低水準で堅調に推移し、賃料単価も上昇の動きがみられた。

④このような環境において、当期末現在においては、計62物件、取得価格合計82,724百万円を保有している。また、当期末現在における当該運用資産の稼働率は96.9%。また、本投資法人は、環境・省エネルギーへの配慮および地域社会への貢献などを中心としてESGへの取り組みを推進している。当期末現在において、「DBJ Green Building 認証」について16物件、「BELS評価認証」について2物件の認証を取得。

※DBJ Green Building 認証:環境・社会への配慮がなされた不動産(“Green Building”)を支援するために、2011年4月に日本政策投資銀行(DBJ)が創設した認証制度。対象物件の環境性能に加えて、防災やコミュニティへの配慮などを含む様々なステークホルダーへの対応を含めた総合的な評価に基づき、社会・経済に求められる不動産を評価・認証し、その取り組みを支援。

BELS評価認証:2013年10月に「非住宅建築物に係る省エネルギー性能の表示のための評価ガイドライン(2013)」が国土交通省において制定されたことに伴い、当該ガイドラインに基づき第三者機関が非住宅建築物の省エネルギー性能の評価および表示を適確に実施することを目的として開始された建築物省エネルギー性能表示制度。

 

⑤資産取得に係る資金調達について、収益の確保および資産価値の持続的な成長を念頭に置き、中長期的に安定的かつ健全な財務基盤を構築することを基本方針としており、当期中に以下の資金調達をおこなった。有利子負債による資金調達として、不動産信託受益権の取得資金および関連費用の一部に充当するため、2024年1月30日付で1,600百万円を期間1年のブリッジローンで借入れた。加えて、当期中に長期借入金2,400百万円および短期借入金400百万円について、2023年11月30日付で借換えをおこなった。また、2024年1月29日を払込期日とした第三者割当による新投資口の発行(11,850口)を実施し、1,648百万円の調達を行い、不動産信託受益権の取得資金および取得に関連する諸費用の一部に充当した。当期末現在、出資総額は41,450百万円、有利子負債の残高は42,900百万円となった。これにより、当期末時点での資産総額のうち有利子負債の占める割合(LTV)は47.7%となった。また、当期末現在の本投資法人の格付の取得状況は、日本格付研究所により、「長期発行体格付:A、格付見通し:安定的」となっている。

⑥上記運用の結果、当期の業績は、営業収益3,577百万円(前期比1.6%増)、営業利益1,695百万円(前期比2.4%増)となり、借入金の支払利息などの経費を控除した経常利益は1,387百万円(前期比2.6%増)、当期純利益は1,386百万円(前期比2.6%増)となった。テナント入替えによる月間賃料比較では、全てのアセットタイプで増加が減少を上回る。住宅を中心に賃料引上げを積極的に実施した結果、増減金額、増減率とも大幅に増加。各アセットとも含み益は拡大しており、含み損となっている物件はなし。

⑦当期の分配金については、本投資法人の規約に定める分配方針に従い、投資法人の税制の特例の適用により、利益分配金の最大額が損金算入されることを企図して、投資口1口当たりの分配金が1円未満となる端数を除く利益のうち当期純利益から成る部分の金額の概ね全額を分配することとし、投資口1口当たりの利益分配金は3,682円となった。

⑧今後の日本経済は、世界経済が緩やかに成長していくもとで、緩和的な金融環境などを背景に、輸出やインバウンド需要、設備投資の増加に支えられ、緩やかな回復が続くことが期待されている。また、雇用・所得環境が改善するなか、個人消費は、物価高の影響を受けつつも、賃金上昇率の高まりやマインドの改善などを背景に、緩やかに増加していくとみられる。ただし、海外景気の下振れが日本の景気を下押しするリスクとなっていることに加え、円安による物価上昇、ウクライナや中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動などの影響による日本の経済・物価を巡る不確実性は高まっており、海外の経済・物価情勢と国際金融資本市場の動向を十分注視する必要がある。不動産売買市場においては、国内外投資家による日本の不動産への旺盛な需要は継続すると考えられ、当面の売買価格は高値圏で推移することが見込まれる。不動産賃貸市場においては、オフィス環境の改善やオフィス回帰の動きなどをもとに、テナント需要は回復傾向にあり、今後テナントの移転や館内増床の動きが活発化して賃料の引き上げにつながることが期待されるが、ビルの築年数や規模、賃料帯、立地エリアといった属性による需要の強弱もみられ、引き続きテナントニーズの動向を十分に注視していく必要がある。賃貸住宅については、都市部への人口回帰を受けて住宅需要が高まるなか、引き続き底堅く推移することが見込まれている。

第20期(2024年10月期)は、前期対比で増収減益予想。前期取得物件が寄与するも、保守的に設定した想定稼働率と金利負担などの費用増を反映。前回予想対比では、営業収益および各利益段階で上方修正。オフィスを中心とした稼働率改善などが主因。第21期(2025年4月期)は、金利上昇を見込むが、オフィスのフリーレント解消などでカバーし増益予想。従来同様、更なる増益を目指す。2024年10月期および2025年4月期の運用状況の見通しは、営業収益7,249百万円、営業利益3,406百万円、経常利益2,754百万円、当期純利益2,752百万円。

⑩当期末現在計62物件、82,724百万円の資産を運用しているが、投資主に対する安定的な分配を実現するため、早期に資産規模の拡大が必要であると考えている。

投資状況は、東京経済圏のオフィス37.1%、商業施設5.9%、住宅46.6%、主要地方都市の住宅0.9%、預金・その他の資産9.5%。

⑫資産運用会社のトーセイ・アセット・アドバイザーズの取締役の井手義則さんが、2024年4月26日に辞任。本資産運用会社の接待交際費、交通費の使用に関して、社内規則に違反する事象(業務委託費用名目での不正支出並びに不適切な接待交際費、交通費および図書費の支出が判明)が認めらたとのこと。社内調査委員会を立ち上げ調査した結果、本資産運用会社の計算において支出がなされたものであり、本投資法人の業績への影響は無いとの説明。

⑬質疑応答で、「金利の影響をどう見ているのか?」との質問あり。「長期で0.3%程度上昇すると見ている。2年で更新があり、更新のタイミングで賃料アップの対応をする。景気への影響は心配はしていない。金利上昇の影響を回避できると思っている。金利が上がるとキャップレートも上がり、不動産価額に影響があると言われているが、賃料アップで対応したい。」との旨の説明。

⑭質疑応答で、「持ち株会のような制度はあるのか?」との質問あり。「トーセイ累投があり、トーセイの社員であれば利用でき、1割の補助がある。」との回答。

⑮質疑応答で、「資産運用会社のトーセイ・アセット・アドバイザーズの運用資産残高を見ると、AMが大幅に増加している一方で、REITは増えていない。REITに資金が流入しない理由をどう考えているのか?」との質問あり。「AMは外国人投資家が主で成長してきたが、米国不動産が抑制的であるため、売却する投資家も出てきた。2023年11月から2024年5月にかけて増えていない。REITは株式に資金が流れている。」との説明。

⑯議案の採決方法は拍手での採決。議決権の過半数を保有する大投資主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが投資主総会に出席している投資主から見て納得感がある。

 

投資主総会を終えて感じたこと

投資主総会時点、REITは未保有ですが、今回、実際に執行役員を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、運用会社の雰囲気を感じられたことが投資主総会に参加した大きなメリットでした。

運用状況報告会の質疑応答では、執行役員の大河内幸貴さんが、丁寧な回答対応をされていました。説明の最中に話のあった「品川の湾岸は埋まらない」「リニューアルはトイレから変える」「REITは規模が大きくなると分散が効き安定する」「第三者割当での成長には限界がある」「投資口価格が上がったら第三者割当増資にチャレンジしたい」との言葉が印象に残りました。

 

なお、Jリート全般に対する印象として、現状、分配金利回りは良いものの、下記5点の特徴が良くも悪くも気になります。

①Jリート投資法人が配当可能な利益の90%以上を分配する場合は、分配金が税務上の損金として算入されるため、法人税が実質無税となる。ただし、負ののれんと物件の売却益を分配可能利益から控除でき、一部の資金を内部留保することはできる。

②Jリート投資法人が税制優遇を受けるために利益の90%以上を分配金としている。結果、内部留保が薄く、得た利益を成長投資へ充てることが難しく、NAVについては長期的に見てインフレ率以上のが成長が見込みづらい。そのため、投資口価格についても長期的にはインフレ率以上の成長は見込みづらい。

③Jリート投資法人が税制優遇を受けるために利益の90%以上を分配金としている。結果、内部留保が薄く、得た利益を成長投資へ充てることが難しく、規模拡大(スポンサー企業の出口戦略に継続して対応)するためには、第三者割当増資や借入などに頼らざるを得ない。特に、NAV倍率1倍割れでの第三者割当増資は、既存投資主から見ると悪条件に見える。

④Jリート投資法人が利益の90%以上を分配金とし税制優遇を受けているため、通常の法人税がかかる状態に比べて、過剰な不動産投資需要が生まれている。結果、不動産市場の歪みの要因になっているように見える。

⑤スポンサー企業がJリートへ不動産を拠出をする事が多い。スポンサー企業から見ると、Jリートへ不動産を拠出する際にJリートから売却手数料を得られ、Jリートの運用会社としてもJリートから不動産取得手数料を得られ、さらにJリートから管理手数料も得られる。また、Jリート投資法人の税制優遇の恩恵(不動産投資需要の創出)も考慮すると、スポンサー企業のためにあるようなビジネスモデルに見える。スポンサー企業の出口戦略となっているように見える。

 

Jリート全般として、構造的な問題が見え隠れしますが、インカムゲイン狙いとして安定した分配金は魅力的です。何かしらの要因で一時的に空室率が上がり投資口価格が下落した局面や、インフレなどにより保有物件の大幅な値上がりや賃料アップが期待でき、投資口価格の上昇も期待できそうな局面などで、キャピタルゲインも狙い再投資を検討します。

国内金利上昇の影響も気になりますが、スポンサー企業のトーセイへ投資を検討する際の参考にもします。

 

投資主総会会場のトーセイホテルココネ築地銀座プレミア
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