東京きらぼしフィナンシャルグループ 第10回定時株主総会
日時:2024年6月24日(月) 10:00-11:10
場所:きらぼし銀行本店(表参道駅徒歩3分)で開催、オンラインでのライブ参加
企業情報
東京きらぼしフィナンシャルグループ(7173)
HP:東京きらぼしフィナンシャルグループ (tokyo-kiraboshifg.co.jp)
①東京都および神奈川県北東部を主たる営業エリアとし、主に預金業務、貸出業務、商品有価証券売買業務、有価証券投資業務、内国為替業務、外国為替業務、信託業務、信用保証業務、アプリを通じて預金業務、貸出業務、内国為替業務などをおこなう「銀行業」(経常収益構成比75%)、OA機器から産業機械、自動車など多様なリース物件を取扱う「リース業」(経常収益構成比10%)、証券業、コンサルティングサービス、広告企画制作、フィンテックなどの業務をおこなう「その他」(経常収益構成比15%)を運営。
②東京都が、第4位の株主として、119万株、3.9%を保有。
パチンコ店向け機器大手のマースグループホールディングス(6419)が、第6位の株主として、59万株、1.9%を保有。
③株主優待
3月末
100株:定期預金金利上乗せ or 投資信託購入時手数料優遇 or きらぼしコンサルティングのセミナー受講料優遇 or UI銀行・Amazonギフト券3,000円分
株式情報
時価総額:1,412億円(2024年6月21日時点)
経常利益:329億円(2024年3月期実績)⇒321億円(2025年3月期予想)
株価:4,610円(2024年6月21日時点)
1株純資産:10,244円(2024年3月末時点)、PBR:0.45倍
1株当期純利益:798円(2025年3月期予想)、PER:5.77倍
1株配当:150円(2025年3月期予想)、配当性向:18%
配当利回り:3.2%、株主優待含む利回り:3.9%(100株保有時、優待品を3,000円として計算)
株主数:29,656名
会計基準:日本会計基準
株主総会での個人メモ
①連結会計年度の経営成績は、連結業績の大宗を占めるきらぼし銀行の経常利益が369億円(前期比+4億円)、当期純利益は303億円(同比+28億円)となったが、内部取引の消去など連結決算上の調整をおこなったことにより、経常利益が329億円(前期比+21億円)、親会社株主に帰属する当期純利益は256億円(同比+45億円)となった。
②きらぼし銀行の経営成績における主な増減要因(前期比)は、貸出金利息は、メイン化取引の推進や事業性ファイナンスへの取組み等により、引き続き貸出金は増加、利回りも上昇し、前期比+92億円。有価証券利息配当金は、持分法適用関連会社からの配当金の受取が29億円減少するも、外国証券利息やファンド収益の増加等により同比+4億円。その他資金利益は、外貨調達コストの増加や、UI銀行への借用金利息の支払い増加などにより、同比△26億円。非金利収益は、外国為替売買損の計上や前期計上したアセットスワップ解消などの利益がなくなったことなどにより同比△58億円。経費は、ベースアップによる人件費の増加などにより同比+27億円。与信関係費用は、一般貸倒引当金の実績率低下などにより同比△1億円。債券・株式等関係損益は、外国債券売却損の減少や純投資株式売却益の増加などにより同比+28億円。
③2025年3月期の通期の連結業績予想については、連結経常利益321億円、親会社株主に帰属する当期純利益245億円を見込んでいる。
④貸出金・信託財産(きらぼし銀行)は、メイン化取引の推進・事業性ファイナンスなどへの取組みにより、利回りは引き続き上昇。貸出金残高も増加基調にある一方、ディストリビューションの実施などにより中小企業向け貸出は微減。
⑤預金・預かり資産残高(きらぼし銀行+UI銀行/ KLD証券)は、UI銀行の預金残高(24/3期:4,034億円)が堅調に積み上がり、グループ全体では前年同期比+1,922億円。預かり資産残高は、きらぼしライフデザイン証券の残高を中心に増加傾向。
⑥役務取引等利益(きらぼし銀行)は、法人役務収益は事業性ファイナンス等により大きく伸長した前年度水準と比較し減収となった一方で、個人役務収益は販売手数料に頼らない残高重視の営業体制に転換し、概ね横ばいで推移。
⑦有価証券(きらぼし銀行)は、低クーポン債の処理を進め、円債は地方債等への入れ替え、外債は変動債への入れ替えを実施。
⑧金融再生法開示債権・自己資本比率は、開示債権比率は、正常債権の増加や取引先のランクアップなどにより前年同期比で減少。リスク・アセットが増加した一方、利益の積上げにより自己資本は増加、前年同期比で自己資本比率は上昇。
⑨コアOHR・ROE ・配当金は、ROEは前年度に引き続き上昇基調、また24/3期の1株あたり年間配当金は3期連続の増配。
⑩中期経営計画(2024年度~2026年度)は、2027年3月期に、当期純利益300億円、グループ会社利益50億円。優先株は、2029年度までに償還を完了することを目指す。
⑪質疑応答で、「配当性向が低い。株主還元の考えは?」との質問あり。「配当性向20%を継続し、適切な自己資本比率を目指す。配当金自体は増えている。」との回答。
⑫質疑応答で、「東証からPBR1倍割れについて改善要請が出ている。対応は?」との質問あり。「10年後にPBR1倍以上を目指す。ROEを向上させ、前倒しでのPBR1倍も目指す。」との説明。
⑬質疑応答で、「金利が上昇した場合の業績への影響は?」との質問あり。「銀行ビジネスにとってはプラスとなる。0.1%上がると、5億円程度の影響が見込まれるが、業績予想には計上していない。」との回答。
⑭質疑応答で、「デジタルアプリでは無く、対話重視の昔のやり方の方が良いのでは?」との質問あり。「店舗の統廃合、デジタル化をこの6年間で強力に進めてきた。競争相手は銀行だけではない。鉄道関連も進出してきた。店舗は人件費がかかり、預金貸出金利の面で不利な条件で戦うことになる。将来的にお客様の流出につながる。キャッシュレスも急速に進んでいるので、デジタル化を進めなければならない。デジタルシフトを丁寧に対応し、店舗は、お客様との対話をする場を目指す。将来に期待して欲しい。」との説明。
⑮質疑応答で、「4億円の不正送金を見逃した。なぜ止められなかったのか?」との質問あり。「個別取引については回答できないが、ガイドラインや当局からの指導に沿って対応している。サイバー犯罪が巧妙化してきている。高度化した対応を取っていかなければならない。」との回答。
⑯質疑応答で、「役員報酬が1億円以上の取締役が1人もいない。利益が多い銀行なので、役員報酬を上げたほうが良いのでは?」との質問あり。「同規模の銀行と比べ、見劣りしていない水準。」との回答。
⑰質疑応答で、「中期経営計画では、グループ会社の利益目標が50億円となっている。グループ会社を上場させたほうが良いのでは?」との質問あり。「グループ会社は20社あり、単年度の利益にバラツキがある。デジタル関連の立ち上げでマイナスになっている。50億円以上の利益を上げるポテンシャルがある。新たに営業戦略部を設置して、横串で見るようにした。」との説明。
⑱質疑応答で、「株価が高く、新NISAの需要を取り込めていないのでは?流動性の観点からも株式分割をしたほうが良いのでは?」との質問あり。「3年前は株価が1,000円台であった。今は3倍以上になり、単元が高くなった。資本政策の中で考えていく。」との回答。
⑲補欠監査役と取締役候補者9名中、70歳以上の候補者は西尾昇治さん(1952年生まれ、72歳)の1名。役員定年制(一般的には65歳~70歳)を設定して、未来のために次世代育成を進めたほうがよいと思う。
⑳2023年3月期、社外取締役を除く取締役6名の報酬等の総額は16,100万円。2022年6月に着任した2名をそれぞれ9ヶ月分として計算すると、単純平均で取締役1人当たり2,927万円。ただし、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まず。
使用人兼務取締役の使用人給与も含めた金額が提示された方が、株主から見て実態が分かりやすくなると思う。
㉑議案の採決方法は2つの議案をまとめて一括で、かつ拍手での採決。議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。
株主総会を終えて感じたこと
業績が堅調で、PBRが1倍を大きく割れており、株主優待も魅力的なので、国内金利上昇の恩恵を期待して、平均4,359円で投資しました。
今回、オンラインでのライブ参加でしたが、実際に社長や取締役の振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたこと大きなメリットでした。
質疑応答では、担当役員が回答し、社長の渡邊壽信さんが補足するスタイルでしたが、特に、渡邊壽信さんが要点を分かりやすく説明されていた点が印象的でした。
2023年3月に、東京証券取引所が「PBR1倍割れの企業に改善要請」を実施しましたが、東京きらぼしフィナンシャルグループは、1株当たり純資産10,244円に対し、株価が4,610円(2024年6月21日時点)、PBR0.45倍と低迷しており、PBR1倍達成に向けた施策が求められます。
今後の国内金利上昇による業績向上とPBR1倍割れの解消、地域経済への貢献を期待して、また、株主優待も楽しみにして、継続保有の予定とします。