セレコーポレーションの株主総会に出席しました【2024年5月30日】

株主総会
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セレコーポレーション 第33回定時株主総会

日時:2024年5月30日(木) 10:00-10:40

場所:京橋エドグラン(京橋駅直結)

出席株主数:約10名

お土産:無し、ミネラルウォーターの配布あり

 

企業情報

セレコーポレーション(5078)

HP:【公式】株式会社 セレ コーポレーション|CEL Corporation (cel-co.com)

①土地を保有されているオーナーに向けて子供の養育資金や老後の不安解消に向けた私設年金の形成など土地の有効活用を提言しアパート経営を通じてオーナーが抱える様々な問題や人生の課題に対する解決プランの提案をおこなうコンサルティングや、一級建築士事務所として平面に高さを加えた立体的な空間設計をおこないアパートのプランニングから実施・設計/施工管理までを手掛け、特定建設業者として建築施工全般を請け負うソリューションをおこなう「賃貸住宅事業」(売上構成比40%)、将来にわたり確かな価値として残る土地の立地を重視し土地の資産価値が高い都内の城南(品川区・目黒区・港区・大田区)・城西(渋谷区・新宿区・世田谷区・中野区・杉並区・練馬区)エリアにおいて駅から徒歩5分圏内の立地を条件とし整形地・角地など見栄えの良さや富裕層のニーズを考慮した300㎡超えの土地を自社で仕入れ、その土地の資産価値に相応する赤煉瓦調の外観や立体的な空間設計による付加価値の高いアパートを建築・販売しアパート経営の提案をおこなう「賃貸開発事業」(売上構成比21%)、自社施工物件ならびに他社の施工物件や他社の管理物件について管理受託営業や管理アパートのプロパティマネジメント業務、オーナーさまやゲストの火災・家財・その他保険の取り扱い業務(保険代理店業務)やゲストの入居契約における不動産賃貸保証業務をおこなう「賃貸経営事業」(売上構成比39%)を運営。

筆頭株主は、会長の神農雅嗣さんが代表を務めるジェイコーポレーションで、神農雅嗣さん個人での保有分も含めると、210万株、60.9%を保有。
搬送システムや流通機器の製造・販売を手掛けるマキテックが、第2位の株主として、40万株、11.6%を保有。
光通信(9435)が、第3位の株主として、14万株、4.2%を保有。

 

株式情報

時価総額:155億円(2024年5月29日時点)

売上高:231億円(2024年2月期実績)⇒249億円(2025年2月期予想)

株価:4,450円(2024年5月29日時点)

1株純資産:5,720円(2024年2月末時点)、PBR:0.77倍

1株当期純利益:349円(2025年2月期予想)、PER:12.7倍

1株配当:105円(2025年2月期予想)、配当性向:30%

配当利回り:2.3%

株主数:572名

会計基準:日本会計基準

 

株主総会での個人メモ

①株主総会開始時に、全取締役の紹介があった。なお、取締役の神農雅嗣さんは、所用のため欠席。議決権を60%以上保有するオーナーでもあり、欠席に大きな違和感。ご高齢(79歳)でもあり、お姿が見えないとやや心配。

②当社の主要事業である賃貸住宅市場においては、エネルギー資源や建築資材の高騰、労務費の上昇などにより建設コストは右肩上がりの状況が続き、全国の新設貸家着工戸数および当社の事業エリアとなる東京都の新設貸家着工戸数は、2023年8月以降前年同月を下回る月が続いたものの、第4四半期に前年同月を上回り盛り返した結果、当連結会計年度を通じて概ね前年並に推移した。

③賃貸住宅事業においては、当連結会計年度における引き渡し棟数の実績は75棟(計画86棟)、着工棟数の実績は84棟(計画87棟)となり、引き渡し棟数が好調であった前期並の水準には至らなかったことから、売上高は9,447百万円(前期比3.9%減)、セグメント利益は639百万円(前期比11.0%減)となった。

④賃貸開発事業においては、積極的な営業活動により計画外の販売実績を確保できたため、売上高は5,052百万円(前期比28.7%増)、セグメント利益は750百万円(前期比79.1%増)となった。

⑤賃貸経営事業においては、前期から引き続き賃貸住宅事業と協働してアパートの企画・設計の段階から受託営業活動に注力した結果、当連結会計年度末の管理戸数は12,314戸(前期末比271戸増)となった。加えて、引き続き専任の賃貸仲介協力業者の組織「セレリーシングパートナーズ」(2024年2月末で16社)において、委託契約の内容見直しにより協力業者との関係強化を一層図り、さらにメンテナンス協力業者の組織「セレメンテナンスパートナーズ」(2024年2月末で10社)の協力のもと、スピーディーな修繕対応を実現する新定額精算商品「セレスマートリペアシステム」を販売開始するなど、ゲスト(入居者)およびオーナーの満足度につながるサービス面の維持・向上に努めた結果、高水準の入居率(2024年2月末で98.5%)を維持することができた。以上の活動の結果、売上高は9,323百万円(前期比6.6%増)、セグメント利益は1,101百万円(前期比15.4%増)となった。

⑥以上の結果、当社グループの当連結会計年度における売上高は23,103百万円(前期比8.1%増)、営業利益は1,637百万円(前期比32.8%増)、経常利益は1,658百万円(前期比32.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,109百万円(前期比30.0%増)となった。

⑦今後の見通しについては、雇用情勢の改善、賃金上昇、日本銀行によるマイナス金利政策の見直しなどにより景気動向には注視が必要となるほか、人財不足の深刻化、地政学的リスクに伴う資材不足、物価上昇に加え、金融引き締めによる海外経済の減速が懸念されるなど、依然として不透明な状況が続くものと想定している。2025年2月期については、賃貸住宅事業において、営業面では、当社旗艦ブランド「My Style vintage」の販売に一層注力し、ロゴの刷新にあわせて営業活動をより強化するほか、新規紹介先の開拓と関係強化、環境配慮型アパートの提案強化による一棟単価の向上を図っていく。また、アパート専門メーカーとして生産・施工の更なる品質向上、原材料高騰が続く中で千葉工場も含めた全メンバー参加型の原価低減に努めていく。さらに、賃貸開発事業において安定成長に向けた取引先との連携強化、賃貸経営事業において管理戸数の増加を目指し賃貸住宅事業および賃貸開発事業との協働強化などにも取り組んでいく。加えて、将来を見据えた次世代の経営者などの人財育成・働き方改革の推進などの人的資本経営への取り組み、一層の業務効率化を目的としたデジタル化推進など、さらなる成長を目的とした投資を継続する。以上を踏まえ、連結業績予想については、増収増益を見込んでいる。

⑧長期経営ビジョン「ビジョン2030」は、2030年2月期に、売上高400億円、営業利益40億円、PBR1倍。

当社はエリアを東京圏の1都3県としており、大阪圏や名古屋圏などの東京圏以外に拡大・進出する計画は無い。アパートの建築コストはどのエリアでも概ね同様の水準だが、東京圏は他の地域よりも家賃が高いため、アパート事業には一番適しているエリアと考えている。加えて、将来的な資産性の観点でも、東京圏が優れていると考えている。また、東京圏には住空間に不満を持つ若者が多くいるので、エリアを拡大しなくとも東京圏には当社の供給戸数に対して十分なマーケットがあり利益を確保できると考えている。以上の点から、他のエリアへの規模拡大はせずに東京圏に集中した事業をおこなっていきたいと考えている。

⑩土地の有効活用として請負契約をする「賃貸住宅事業」、土地を購入して当社のアパートを建築する「賃貸開発事業」、ストックビジネスの「賃貸経営事業」の3つの事業があるが、特定の1つの事業を伸ばしていくことは考えていない。当社は「堅実経営」が経営方針なので、1つの事業に偏るのはリスクがあると考え、3つの事業をバランス良く成長させていくことで安定的成長ができると考えている。現在はストックビジネスの賃貸経営事業が40%、請負事業の賃貸住宅事業と賃貸開発事業をあわせて60%の構成となっている。ストックビジネスである賃貸経営事業は、賃貸管理や建物管理などをおこなう安定したビジネスなので、2030年にはこのストックビジネスの利益で全社コストや人件費を賄っていけるようにしたいと考えている。

⑪リーシングパートナーズ企業との委託契約を見直して業務効率を改善した。具体的には、リーシングパートナーズ企業に対して、従来の賃貸仲介業務に加え、システムを活用した契約書作成などの事務処理も業務委託の内容に含めるよう見直しをおこなった。その結果、3月の繁忙期においても従来より効率的な業務遂行が可能となった。

賃貸開発事業の2025年2月期計画は増収・減益。引き渡し棟数は前期より増加を計画しているが、一方で資材高騰などの影響により建設コストが膨らむなど、販管費の増加を見込んでいる。この結果、現時点では増収・減益の見込みとなっている。ただし粗利率は向上しているので、増収・増益を継続できるよう、積極的な営業活動に取り組んでいく。

⑬今後金利が上昇した場合の、長期的な影響については、 現在は資材高騰などの影響により物件の利回りが下がっている状況なので、金利が上昇した場合に影響が出るお客様も一定程度いると思われる。しかしながら、当社のお客様は資産承継を主な目的とする方がメインとなるので、現金で購入されるお客様が多くいる。そのため、金利上昇による影響は限定的と考えている。

配当については、配当性向30%を基準として業績に連動した利益還元とし、前年度の配当額と比較し安定的な配当の維持に努めていく方針としている。今後の配当については、基本的な考え方をベースに中長期的な成長に向けての資本とのバランスを鑑みて、検討をおこなう。なお、増配をおこなうためには、利益の拡大が必要と考えている。2030年においてROE10%を目指して相当程度の当期利益の確保に努め、その上で株主還元をおこなう。

⑮資材高騰や円安などの状況下において、利益率が改善している。2024年2月期はセグメント利益率の高い賃貸開発事業が大幅に増収・増益になったこと、また賃貸経営事業において、コロナ禍が一服したことによる入居率の改善、リーシングパートナー企業との関係強化による業務効率化が利益率の改善に寄与している。その他、資材高騰の影響はあるが、それ以上に付加価値のある建物・設備や土地を提案することにより、価格転嫁ができていることも要因の一つとしてあげられる。

⑯質疑応答で、「株式の1日の売買高が少ない。会長の神農雅嗣さんが株式の60%以上を保有しており、今後、もし株式の売却があれば株価下落が心配。第1号議案と同様に神農雅嗣さんから相談があった場合、自己株式取得で対応するのか?」との質問あり。「今回の対応は株式の流動性を高める目的もある。流動性の課題対応もあるので、大株主に対し株式の売却要請をおこなう一方で、IR活動を強化し、個人投資家を募りたい。具体的な対応は決まっていない。」との説明。

⑰監査役と取締役候補者12名中、70歳以上の候補者は神農雅嗣さん(1944年生まれ、79歳)、渡辺衛男さん(1952年生まれ、71歳)の2名。役員定年制(一般的には65歳~70歳)を設定して、未来のために次世代育成を進めたほうがよいと思う。

⑱社外取締役を除く取締役7名の報酬等の総額は25,602万円。単純平均で取締役1人当たり3,657万円。ただし、取締役の報酬等の総額には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まず。

 

株主総会を終えて感じたこと

株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。一方で、議決権を60%以上保有するオーナーで会長の神農雅嗣さんの欠席には大きな違和感を感じました。キーパーソンでもあり、欠席はとても残念でした。

質疑応答では、社長の山口貴載さんが、丁寧に回答対応をされていました。堅実な社風が感じられました。

2023年3月に、東京証券取引所が「PBR1倍割れの企業に改善要請」を実施しましたが、セレコーポレーションは、1株当たり純資産5,720円に対し、株価が4,450円(2024年5月29日時点)、PBR0.77倍と低迷しており、PBR1倍達成に向けた施策が求められます。

株式の流動性が乏しく、会長の神農雅嗣さんの保有株式の今後の動向が気になりますが、業績も堅調で、財務内容も良好、堅実な社風も感じられたので、再投資も検討します。

 

株主総会会場の京橋エドグラン
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