ジーフット 第53期定時株主総会
日時:2024年5月22日(水) 10:00-11:10
場所:コングレスクエア日本橋(日本橋駅直結)
出席株主数:約40名
お土産:無し
企業概要
ジーフット(2686)
①「アスビー」「アスビーファム」「フェミニンカフェ」「グリーンボックス」業態で、靴を中心とした商品の販売を運営。
②筆頭株主は、総合スーパー大手のイオン(8267)で、イオンの子会社のイオンフィナンシャルサービス、イオンモール(8905)、フジ(8278)の子会社のマックスバリュ西日本、コックス(9876)の保有分も含めると、2,825万株、66.3%を保有。
③株主優待
2月末
100株:株主優待券1,000円
1,000株:株主優待券5,000円、イオンラウンジ会員証
2,000株:株主優待券10,000円、イオンラウンジ会員証
8月末
100株:株主優待券1,000円
1,000株:株主優待券5,000円
2,000株:株主優待券10,000円
株式情報
時価総額:121億円(2024年5月21日時点)
売上高:646億円(2024年2月期実績)⇒640億円(2025年2月期予想)
株価:285円(2024年5月21日時点)
1株純資産:▲229円(2024年2月末時点)、PBR:債務超過
1株当期純利益:0.23円(2025年2月期予想)、PER:1,239倍
1株配当:無配(2025年2月期予想)、配当性向:無配
配当利回り:無配、株主優待含む利回り:7.0%(100株保有時)
株主数:32,745名
会計基準:日本会計基準
株主総会での個人メモ
①新型コロナウイルス感染症の影響により毀損した自己資本の増強と安定した財務基盤による経営基盤の再構築を実現させるべく、4カ年(2023年2月期~2026年2月期)の事業再生に取り組んでいる。初年度となる前連結会計年度で、不採算店舗の整理、今後のアスビーブランド統一(利益店舗へ経営資源を集中し、事業効率・販売効率の最大化を目指す取り組み)で店舗収益力の回復を見込む体制を整えることが出来た。そのような状況の中、当連結会計年度は「成長戦略に向けた基礎固め」を経営方針に、引き続き3つの改革(事業構造改革、MD構造改革、組織・コスト構造改革)に沿った事業再生に取り組んできた。
②事業構造改革では、今後の成長が見込めない70店舗の不採算店舗整理(不採算店舗の整理は当連結会計年度で完了)とアスビーブランド統一を目指した12店舗の出店、63店舗の改装をおこない、利益店舗への経営資源集中による店舗収益力強化を引き続き推し進めてきた。
③MD構造改革では、これまでの業態(店舗屋号)起点だった品揃えを、地域のお客さま情報、販売動向に基づいたスポーツ&キッズシューズ中心の品揃えへと再構築をおこなったことに加え、投入アイテム数をこれまでの約7割に削減し、1アイテム当たりの発注数量を約1.4倍に増加させたことでサイズ欠品による販売機会ロスが減少、建値消化率改善による売上総利益率の増加(実績43.9%、前期から3.1ポイント増)および売上総利益高の前期改善(実績283億84百万円、前期比5.9%増)を図ることが出来た。
④組織・コスト構造改革では、事業構造改革(不採算店舗整理とアスビーブランド統一)に合わせた店舗人員の再配置と勤務シフトの最適化に取り組み店舗がより販売に専念できる現場起点の組織体制作りを進めてきた。また、コスト改革においては、店舗の賃料減額やデジタル化による定型業務の自動化・簡略化など、継続的なコスト削減に取り組み、販売費及び一般管理費は前期から21億51百万円減少の294億66百万円(前期比6.8%減)の実績となった。
⑤以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高646億1百万円(前期比1.7%減)、営業損失10億81百万円(前期は営業損失48億4百万円)、経常損失13億63百万円(前期は経常損失50億4百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は17億68百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失55億23百万円)となった。また、当連結会計年度末における当社グループの店舗数は653店舗(当社単体では646店舗、当期首差58店舗減)となった。
⑥国内景気の先行きについては、長引くロシア・ウクライナ情勢に加え、中東情勢の緊迫化などで変動する為替相場や、資源価格の高騰に伴う食料品・日用品・光熱費の値上げ影響による景気下押しが懸念されるなど、2025年2月期においても厳しい経営環境が続く見込み。2025年2月期の連結業績予想については、売上高640億円(前期は646億1百万円)、営業利益5億円(前期は営業損失10億81百万円)、経常利益2億円(前期は経常損失13億63百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益10百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失17億68百万円)を見込んでいる。
⑦2023年2月期より収益構造の抜本的な見直しに取り組み、新型コロナウイルス感染症の影響により毀損した自己資本の増強と安定した財務基盤による経営基盤の再構築を実現させるべく事業再生に取り組んでいる。2024年2月期においては、前連結会計年度から引き続き3つの改革(事業構造改革、MD構造改革、組織・コスト構造改革)に沿った事業再生計画に取り組み、不採算店舗の整理、アスビーブランド統一(利益店舗へ経営資源を集中し、事業効率・販売効率の最大化を目指す取り組み)で、店舗収益力の回復を見込む体制を整えることができたものの、国内景気の先行きについては、長引くロシア・ウクライナ情勢に加え、中東情勢の緊迫化などで変動する為替相場や、資源価格の高騰に伴う食料品・日用品・光熱費の値上げ影響による景気下押しが懸念されるなど、2025年2月期においても厳しい経営環境が続く見込み。これらのことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象及び状況が存在していると認識しているが、2025年2月期重点取り組みを確実に実施することで業績回復に努めていく。また、資金調達面においても、取引金融機関による短期借入枠の確保に加えて、当社より親会社であるイオンに対して資金面や事業面の経営支援の要請をおこない、イオンとの間で協議・交渉の結果、イオンより資金借入をおこなっている。これらの状況を踏まえ、当連結会計年度末の資金残高の状況および今後の資金繰りを検討した結果、当面の事業活動の継続性に懸念はないことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断している。
⑧2023年2月期より債務超過となり、上場維持基準(純資産基準)に抵触。現在の債務超過は、新型コロナウイルス感染症の影響に起因するものである為、上場維持基準(純資産)適合に向けた改善期間は2年間(2023年3月1日~2025年2月28日)となる。2025年2月期末までに債務超過を解消するよう努める。
⑨質疑応答で、「IR対応が不足しているように思う。会社の状況がよく分からない。決算説明会の動画配信対応などをおこなって欲しい。」との要望あり。「検討する。」との回答。
⑩質疑応答で、「債務超過だが、自力で対応できるレベルではないように見える。債務超過を解消できなかった場合、どうなるのか?」との質問あり。「今年度の1年間が、上場維持のために残された期間。まだ具体的な対応は決まっていない。」との回答。
⑪質疑応答で、「ジーフットは最終赤字が続き、債務超過となってしまっているが、上場している同業他社としては、エービーシー・マート(2670)は業績が良い。ジーフットとの大きな相違点は?」との質問あり。「まず、粗利率構造が違う。ジーフットは人件費が高く、販管費比率が高い。エービーシー・マートで扱っているブランド商品のうち、ナイキなどグローバルブランドで一部扱えない商品がある。」との説明。
⑫質疑応答で、「コスト削減のため、重複上場となっている名古屋証券取引所への上場については廃止すべきでは?」との意見あり。
⑬質疑応答で、「ジーフットの扱うシューズはファッション商品。だが、取締役はイオン出身者が多く、スーパーの経営の延長でやってしまっているように感じる。」との意見あり。
⑭社外取締役を除く取締役3名の報酬等の総額は3,000万円。単純平均で取締役1人当たり1,000万円。
株主総会を終えて感じたこと
財務内容に不安があるものの、イオンの連結子会社であり、株主優待も魅力的なため、平均276円で投資しました。
今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。
質疑応答では、社長の木下尚久さんが、丁寧に回答対応されていました。なお、質疑応答の中で、売上好調で品薄となり、6月の入荷待ちとの説明のあった「ATHREAM(アスリーム)」に興味を持ちました。
親子関係にある上場会社や持分法適用関係にある上場会社における情報開示については、少数株主保護やグループ経営に関する情報が投資判断上重要になるにもかかわらず、十分な開示がなされていない会社が多いことが指摘されています。ジーフットは、イオン(8267)グループで66.8%の株式を保有しておりイオンの連結子会社ですが、東京証券取引所が、2023年12月に、「少数株主保護及びグループ経営に関する情報開示の充実」および「支配株主・支配的な株主を有する上場会社において独立社外取締役に期待される役割」を公表しており、厳しい目が向けられつつあるので、今後の動向を注視します。
2023年2月期より債務超過となり、上場維持基準(純資産基準)に抵触しており、改善期間が2年間(2023年3月1日~2025年2月28日)と定められ、2025年2月期末までに債務超過の解消が必要となります。
債務超過額は約47億円となっており、今期の業績予想(当期純利益10百万円)から見ても、増資などの資本増強、債権放棄などの支援が無いと、2025年2月期末までの債務超過の解消は難しいように思います。
例えば、サマンサタバサジャパンリミテッド(7829)のケースでは、親会社のコナカ(7494)との株式交換による経営統合予定となっており、ジーフットにおいても、イオンとの株式交換により上場廃止となる可能性はありそうです。
また、同じイオングループとしては、タカキュー(8166)が2024年2月期に同じような状況に追い込まれたものの、イオングループからの追加支援が得られず、地域経済活性化支援機構による再生支援となりました。ジーフットもタカキューと同じ道をたどる可能性はありそうです。なお、タカキューのケースでは、株主価値の毀損については最小限となるように配慮がされていました。
2025年2月期末までに、どのような手段で債務超過の解消をはかるのか目が離せませんが、業績の向上と上場維持を期待し、株主優待も楽しみに継続保有の予定とします。債務超過の解消方法によっては、追加投資も検討します。
2024年5月7日に到着したジーフットの株主優待の内容についてはこちら↓
ジーフットの株主優待が到着しました【2024年5月7日】 | ぽこタンの株主総会日記 (fp-agm.com)