INCLUSIVE 臨時株主総会
日時:2024年3月27日(木) 16:00-16:55
場所:INCLUSIVE本社(表参道駅徒歩5分)
出席株主数:約10名
お土産:無し
企業概要
INCLUSIVE(7078)
HP:Home – INCLUSIVE株式会社・インクルーシブ
①メディア・漫画・ニュースレターなど多岐に渡る情報発信フォーマットを通してインターネット上でユーザーを集客し広告による法人クライアントからの収益獲得やその他個人ユーザーに対するコンテンツ・サービス販売による課金をおこなう「メディア&コンテンツ事業」(売上構成比37%)、主に法人をクライアントとし事業戦略のコンサルティングから始まり企業や団体ブランディングに関連する企画の提供・プロモーション関連サービスの提供・空間デザイン・施工サービスの提供あるいはプロモーション活動などで活用するウェブシステム開発の支援などをおこなう「企画&プロデュース事業」(売上構成比28%)、下鴨茶寮というブランドを基盤として食に関連する各種サービスの提供をおこなう「食関連事業」(売上構成比35%)、衛星データ利活用(宇宙関連)事業に注力し宙関連事業を含む「その他事業」(売上構成比0%)を運営。
②筆頭株主は、社長の藤田誠さんで、429万株、42.9%を保有。
実業家の堀江貴文さんが、第3位の株主として、54万株、5.4%を保有。
実業家の堀江貴文さん取締役を務める宇宙総合インフラ関連のインターステラテクノロジズが、第4位の株主として、39万株、3.9%を保有。
インターネット広告を手掛けるデジタル・アドバタイジング・コンソーシアムが、第6位の株主として、18万株、1.8%を保有。
株式情報
時価総額:75億円(2024年3月27日時点)
売上高:48億円(2023年3月期実績)⇒49億円(2024年3月期予想)
株価:756円(2024年3月27日時点)
1株純資産:287円(2023年12月末時点)、PBR:2.63倍
1株当期純利益:28.8円(2024年3月期予想)、PER:26.2倍
1株配当:無配(2024年3月期予想)、配当性向:無配
配当利回り:無配
株主数:5,536名
会計基準:日本会計基準
株主総会での個人メモ
①株主総会は、INCLUSIVE本社内のワークスペースでの開催。
②取締役と代表執行役にミネラルウォーターが提供されていたが、株主側には提供が無く、経営から株主へ議案を諮る場としては違和感。会社として、株主ではなく役員の方向を見ている様子が伺えた。
③2024年3月期第3四半期は、当社グループが属するインターネット広告領域においては、全体的には過去数年にわたる成長基調が継続しており、当社グループにとって重要な市場でもあるマスメディア媒体のデジタル化が更に進行するなど、事業機会の拡大につながる展開も見受けられた。
④売上高は、新たにグループに加わったオレンジグループが上乗せされたことで対前年同期比で増加。オレンジグループの株式取得に伴うのれん償却費が発生。一方でデジタル配信サービスの配信作品数の増加やWEBTOONの受託案件の獲得による収益増、企画&プロデュース事業において大型案件の納品が完了した影響や、企業ブランディング支援・コンサルティングなどのサービス展開が好調に推移したことにより、営業赤字は縮小。売上高は3,743,778千円(前年比22.1%増)、調整後EBITDAは△8,133千円(前年は△191,960千円)、営業損失は216,658千円(前年は営業損失416,620千円)、経常損失は224,578千円(前年は経常損失391,562千円)となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は416,453千円(前年は純損失504,024千円)となった。
⑤メディア&コンテンツ事業は、デジタル配信サービスの配信作品数の増加により好調に推移したことや、WEBTOONの受託案件の獲得による影響により、売上高が増加。メディアマネタイズを支援する旧メディアマネジメントサービスにおいては事業展開が想定よりも進捗しなかった一方で販管費などの圧縮やのれん償却費が減少。なお、ナンバーナインの業績は2023年10月分まで取り込み。売上高は、前年比4.4%増の1,369,905千円。セグメント調整後EBITDAは△133,808千円(前年は△179,787千円)となり、セグメント損失は195,136千円(前年はセグメント損失311,329千円)。
⑥企画&プロデュース事業は、オレンジ・アンド・パートナーズ、ジョージクリエイティブカンパニーを2022年5月より子会社化したことにより売上高およびコストは増加。その中で、大型案件の納品が完了した影響や、企業ブランディング支援・コンサルティングなどのサービス展開が好調に推移したことにより、売上高は増加。前述2社の株式取得に伴うのれん償却費は発生したものの、営業利益黒字を維持。売上高は、前年比25.1%増の1,314,862千円。セグメント調整後EBITDAは182,630千円(前年は28,709千円)、セグメント利益は121,448千円(前年はセグメント損失15,998千円)。
⑦食関連事業は、下鴨茶寮を2022年5月より子会社化したことによる純増加。インバウンド需要を取り込み料亭事業や百貨店事業は好調を維持。同社の株式取得に伴うのれん償却費が発生。売上高は、前年比50.9%増の1,059,010千円。セグメント調整後EBITDAは△49,925千円(前年は△38,221千円)、セグメント損失は135,940千円(前年はセグメント損失86,629千円)。
⑧2023年11月14日に、クリエイターエコノミー事業およびWEBTOON事業の運営をおこなうナンバーナインの株式を62.8%譲渡(譲渡後の持株比率は16.0%)。成長領域であるWEBTOON領域への投資継続のため、ナンバーナインの資本構成の自由度を高め外部からの資金調達の可能性を容易にしつつ、当社のグループ外の企業として戦略的パートナーとの資本関係を構築することが望ましいとの結論に至った。ナンバーナインの株式売却によって得た資金を基に、宇宙領域や地方創生領域への投資をおこなう。
⑨人員規模の拡大へのフレキシブルな対応と共にグループ会社間管理部門連携強化と機能拡充、また人事制度をアップデートしている現在、オフィス環境を含めた働き方改革と組織改革を推進することを目的に、2024年8月に、東京都港区神谷町トラストタワー23階へ本社を移転予定。
⑩質疑応答で、「定時株主総会が6月に迫る中、このタイミングで取締役2名を追加する理由は?」との質問あり。「4月からの新年度を新体制で力強くスタートしたい。個人的には、大きな病気ではないが、入院の予定もあるので早期に体制を整えておきたかった。」との説明。
体調面については、心配無さそうな印象を受けた。
⑪質疑応答で、「本社を移転予定とのことだが、賃貸費用はどのくらいアップするのか?」との質問あり。「2年間は、WeWorkのキャンペーンがあり、現状と変わらない。」との回答。
⑫質疑応答で、「いろいろと事業をおこなっている会社だが、分かりやすく言うと何をやっている会社なのか?」との質問あり。「下鴨茶寮が一番売り上げのある事業。メディア関連やプロデュース事業もおこなっており、地方を元気にする会社。」との説明。
⑬質疑応答で、「社長の藤田誠さんが直近で株式の売却(約1%)をおこなった理由」について質問あり。「毎年1%ずつ売却をしても、全て売却するまでに40年以上かかる。INCLUSIVEや関連事業で成し遂げたいことがある。上場時にイグジットとして株式を売却する経営者が多いが、ほとんど売却してこなかった。もし退任するような状況になれば、まとめて売却すると思う。」との旨の回答。
⑭社外取締役を除く取締役4名の報酬等の総額は6,270万円。2023年6月の退任2名と新任1名を考慮すると、単純平均で取締役1人当たり2,786万円。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。特に今回、INCLUSIVE本社内のワークスペースでの開催でしたので、良い機会となりました。
質疑応答では、社長の藤田誠さんが、議案以外の質問も積極的に募っており、多くの質問が出ていました。また、回答対応も丁寧に熱心に対応されていたので、好印象でした。
なお、注目されることが多い宇宙関連事業については、「数週間や数カ月単位で進むビジネスではないが、少しずつ進んでいる」との説明がありました。
手掛ける事業が多く、それぞれの事業にシナジーが無さそうにも見え、質疑応答でも質問があったように全体像が分かりにくい会社ですが、社長の藤田誠さんのお話を伺う限り、夢のある面白そうな会社に思えました。
買収した企業を戦力として育て、かつ、シナジー効果を発揮させるためには、企業風土の定着やシステム統合なども含めて難しいプロセスがあるので、受け入れ後の状況がやや気になります。
宇宙関連事業については、過度な期待はしていませんが、まずは、早期の営業黒字回復を期待して、再投資も検討します。