協和コンサルタンツの株主総会に出席しました【2024年2月28日】

株主総会
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協和コンサルタンツ 第63回定時株主総会

日時:2024年2月28日(水) 10:00-10:30

場所:クアトロ室町ビル(三越前駅徒歩2分)

出席株主数:約30人

お土産:無し

 

企業概要

協和コンサルタンツ(9647)

HP:株式会社協和コンサルタンツ (kyowa-c.co.jp)

①国内・海外における建設コンサルタント事業(都市、港湾、空港など、建設事業全般における事業計画、企画、設計、測量、調査、施工計画、管理)をおこなう「建設コンサルタント事業」(売上構成比78%)を中心に、情報処理サービス業務や人材派遣業務や情報処理機器の販売およびソフトウエアの開発・販売などをおこなう「情報処理事業」(売上構成比21%)、不動産賃貸や管理業務などおこなう「不動産賃貸・管理事業」(売上構成比1%)を運営。

筆頭株主は、断熱・防水・シロアリ防除などの住宅工事などを手掛けるフリージア・マクロス(6343)で、23万株、40.6%を保有。
取締役の持山銀次郎さんが、第2位の株主として、3万株、6.4%を保有。
コンピュータソフトウェアの開発・販売などをおこなうデジタル・メディア総合研究所が、第3位の株主として、3万株、5.3%を保有。

 

株式情報

時価総額:27億円(2024年2月27日時点)

売上高:76億円(2023年11月期実績)⇒78億円(2024年11月期予想)

株価:4,685円(2024年2月27日時点)

1株純資産:5,641円(2023年11月末時点)、PBR:0.83倍

1株当期純利益:701円(2024年11月期予想)、PER:6.68倍

1株配当:30円(2024年11月期予想)、配当性向:4%

配当利回り:0.6%

株主数:494名

会計基準:日本会計基準

 

株主総会での個人メモ

①株主数が494名と少ない一方で、出席株主数が約30名。お土産も無い株主総会としては、出席率が約6%と高く、やや違和感を感じた。

②株主総会では、株主総会開始時に司会者が「議長お願いします」と言ったタイミング、社長の山本満さんが議長を務める旨の宣言をした際、監査報告の終了時、議決権数の報告時など、不自然なタイミングで出席株主より大きな拍手があり、違和感を感じた。また、質疑応答の際にも、出席株主より「質問ありません」「異議無し」との掛け声があり、違和感を感じた。

③取締役の佐々木ベジさんは、都合により遅れての出席との説明。本株主総会で退任予定の持山銀次郎さんは、理由は不明だが車椅子での出席だったので心配。

④事業報告は、映像やスライドなどは使用せず、社長の山本満さんが手元の資料を読み上げるのみの対応。

⑤主力事業の建設コンサルタント業界は、社会インフラの点検・補修・補強業務などの防災・減災、国土強靭化関連事業の需要に加え、「防衛力整備計画」を背景とする防衛施設整備関連の需要が拡大したことにより、通年にわたり安定した受注環境にあった。他方、連結子会社が取り組む情報処理業界は、IT投資意欲の高まりを受けて需要が拡大したものの、主要顧客である官公庁においては価格競争が激しさを増し、厳しい受注環境となった。

建設コンサルタント事業の営業面では、安定した受注環境の中でも次年度以降の展開を見据えた受注量の確保を目指し、営業部門と技術部門が緊密に連携した営業展開を推進することで、前期を上回る成果を上げることができた。また、情報処理事業の営業面では、情報サービス業務の受注の減少を人材サービス業務の受注で補うことで、その影響を最小限に留めた。生産面では、親会社において取り組んでいる全社の技術部門を横断する生産体制が効果的に機能したことで、建設コンサルタント事業が前期に対して増収となり、情報処理事業の減収を補う形で前期並の連結売上高を維持した。利益面では、グループ全体においてICTを積極活用して生産性を高めたことに加え、第2四半期連結会計期間よりグループ全体の手持ち業務量に応じたグループ内生産を推進したこと、および、一般管理費についても一層のコスト縮減を徹底したことなどにより、各連結利益が前期に対して増益となった。このほか、当期の再生可能エネルギー関連の取り組みとしては、前期に引き続き農林水産省の官民連携新技術開発事業に参画するとともに、農村漁村におけるスマート農業(ICTなどを活用した農業の省力化、生産性の向上)に関する研究を進めた。

⑦この結果、当連結会計年度の業績は、受注高8,099百万円(前年比1.9%増)、売上高7,679百万円(前年比0.8%減)、経常利益656百万円(前年比19.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益402百万円(前年比24.1%増)となった。

⑧主力事業の建設コンサルタント事業は、受注高6,568百万円(前年比5.0%増)、売上高6,144百万円(前年比1.6%増)、営業利益769百万円(前年比25.4%増)となった。

⑨情報処理事業は、受注高1,527百万円(前年比9.5%減)、売上高1,531百万円(前年比9.6%減)、営業利益2百万円(前年比96.5%減)となった。

⑩不動産賃貸・管理事業は、当社子会社が主に連結グループ内企業に対してサービスを提供している事業で、受注高3百万円(前年比4.8%増)、売上高3百万円(前年比4.8%増)、営業利益23百万円(前年比19.0%減)となった。

建設コンサルタント業界は、国土交通省が「国民の安全・安心の確保」、「持続的な経済成長の実現」、「個性をいかした地域づくりと分散型国づくり」の3本を柱に、前年度比増の令和6年度の概算予算要求を行ったことに加えて国土強靱化推進のための公共事業予算も別途確保されていることや、防衛施設整備関連の需要が拡大していることから、引き続き安定した受注環境が継続するものと予想。他方、情報処理業界は、主要顧客の官公庁においては受注競争が激しさを増すものの、安定した需要があることから中期的に見て受注は回復する方向で推移するものと考えている。

⑫これらの状況を踏まえ、中期においても一定量の需要が持続するものと予想しており、2026年11月期における連結業績目標を、連結売上高84億円、連結営業利益8.4億円、連結経常利益8.3億円、親会社株主に帰属する当期純利益4.8億円に設定。また、次期(2024年11月期)の連結業績見通しについては、売上面では当期(2023年11月期)の情報処理事業における受注減の影響を保守的に考慮し、利益面では当期の成果を踏まえた更なる生産性向上と徹底した無駄の排除を目指すこととして、連結売上高78億円(前年比102%)、連結営業利益6.9億円(前年比109%)、連結経常利益6.8億円(前年比104%)、親会社株主に帰属する当期純利益4.1億円(前年比102%)を見込んでいる。

⑬質疑応答で、「配当性向が低く、内部留保を重視しているように見える。M&Aや設備投資を見据えての対応なのか?」との質問あり。社長の山本満さんが事務局と相談したうえで、「安定した利益の配分と、経営基盤の強化を考えている。純資産の積み増しが必要。M&Aや設備投資は考えていない。長期的な視点で見て欲しい。」との回答。

⑭質疑応答で、「PBR1倍割れの企業に対し、東証から改善要請が出ている。現状PBR1倍を割っており、対応はどう考えているのか?」との質問あり。「時価総額に関わる内容なので、重要な内容だと考えている。3年間で株価は1.5倍になった。業績を上げて、純資産を上げられるように努力する。」との説明。

⑮取締役候補者10名中、70歳以上の候補者は山本満さん(1952年生まれ、72歳)、大島秀二さん(1949年生まれ、74歳)の2名。役員定年制(一般的には65歳~70歳)を設定して、未来のために次世代育成を進めたほうがよいと思う。

⑯取締役9名の報酬等の総額は10,364万円。無報酬の取締役1名を除き、2023年2月に就任した1名を9ヶ月分として計算すると、単純平均で取締役1人当たり1,184万円。ただし、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まず。

 

株主総会を終えて感じたこと

財務良好で、業績が堅調なうえ、今後の国土強靱化推進の恩恵も受けそうで、さらに、PBR1倍を下回わる一方で、PERも10倍以下で推移しており、PBR1倍への株価上昇も期待して、平均3,798円で投資しました。

今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。

株主総会では、総会屋対策?なのか、出席株主から、不自然なタイミングでの大きな拍手や、質疑応答での掛け声があり違和感を感じました。一方で、株主総会終了時の社長の山本満さんの丁寧なお辞儀や、株主が退席するまで、役員一同が見送りをされていたのが印象的でした。

2023年3月に、東京証券取引所が「PBR1倍割れの企業に改善要請」を実施しましたが、協和コンサルタンツは、1株当たり純資産5,641円に対し、株価が4,685円(2024年2月27日時点)、PBR0.83倍と低迷しており、PBR1倍達成に向けた施策が求められます。一方で、良し悪しは別として、経営姿勢として純資産の積み上げに強いこだわりがある様子が伺えました。

また、親子関係にある上場会社や持分法適用関係にある上場会社における情報開示については、少数株主保護やグループ経営に関する情報が投資判断上重要になるにもかかわらず、十分な開示がなされているとはいえない会社が現状では多いことが指摘されています。東京証券取引所が、2023年12月に、「少数株主保護及びグループ経営に関する情報開示の充実」および「支配株主・支配的な株主を有する上場会社において独立社外取締役に期待される役割」を公表しており、厳しい目が向けられつつあるので、今後の動向が気になります。

国土強靱化推進の恩恵を受け、さらなる成長と、PBR1倍達成を期待しています。独特な堅実経営をされている点に興味があり、継続注視します。

 

株主総会会場のクアトロ室町ビル
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