チヨダ 第76回定時株主総会
日時:2023年5月25日(木) 10:00-11:20
場所:中野サンプラザ(中野駅徒歩1分)
出席株主数:約70人
お土産:無し
企業概要
チヨダ(8185)
HP:靴とシューズの専門店 株式会社チヨダ (chiyodagrp.co.jp)
①東京靴流通センター、SHOE PLAZA、CHIYODA HAKI-GOKOCHI、靴Chiyoda、cloverleafなどで靴の小売りをおこなう「靴事業」(売上構成比79%)、マックハウス(7603)で衣料品の小売りをおこなう「衣料品事業」(売上構成比20%)を展開。
②筆頭株主は、投資顧問会社のいちごトラスト・ピーティーイーで、658万株、18.7%を保有。
会長の舟橋政男さんが、第2位の株主として、314万株、8.9%を保有。
舟橋政男さんの配偶者の舟橋秀子さんが役員を務める中央商事が、第3位の株主として、299万株、8.5%を保有。
舟橋政男さんの長男の舟橋浩司さんが社長を務める大和が、第5位の株主として、163万株、4.6%を保有。
③株主優待(2月末、8月末)
100株:20%OFF株主ご優待券5枚
株主総会での個人メモ
①社長の町野雅俊さんは、手足に湿疹が出てしまったとのことで、白い手袋をはめ、杖をつき、着席にて議長を務めていた。
②取締役と監査役の席に座席表示が無かったのが気になった。座席表示があった方が、会社の顔となる役員の方々の顔と名前が一致するので親切だと思う。
③靴・衣料品小売業界も、外出自粛緩和による客足の戻りはあるものの、コロナウイルス感染拡大前の水準には戻っておらず、引き続き大変厳しい経営環境となっている。仕入価格や光熱費等の上昇が経営に影響を及ぼした。
④出退店状況は、靴事業が出店11、退店44、期末店舗数921。衣料品事業が出店20、退店25、期末店舗数320。
⑤靴事業の立地タイプ別出退店実績は、大型SC(リージョナル)が出店2、退店7、期末店舗数48。中型SC(コミュニティ)が出店4、退店6、期末店舗数71。小型SC(ネイバーフッド)が出店1、退店12、期末店舗数143。ロードサイド複合型が出店1、退店3、期末店舗数171。ロードサイド単独が出店2、退店14、期末店舗数451。駅前・駅近が出店1、退店2、期末店舗数37。
⑥2024年2月期の出退店計画は、出店10、閉店50、改装15。
⑦販売促進では、昨年3月の自社ECサイト大幅リニューアルに伴う大規模なWEB広告、9月からは自社ECサイトで購入した商品の店舗受け取りを開始、12月からは自社アプリによるデジタル会員証・自社ポイントサービスを開始するなど、デジタル事業改革の推進。また、キャッシュレス決済の利用によるポイント還元キャンペーンや、利用可能なキャッシュレス決済の種類を拡大するなど、新たな需要の喚起や利便性の向上に努めた。一方で、従来型の紙媒体によるチラシ広告は引き続き抑制し、広告宣伝の費用対効果の改善に取り組んだ。
2023年3月23日から4月9日まで、「PayPay20%戻ってくるクーポン」による還元キャンペーンを行っていたが、予算の上限に達したとのことで、4月9日を待たずに早期終了していた。早期終了を知らずに還元キャンペーン中と誤認して買い物をしてしまったお客様も一定数発生していると思われ、結果としてお客様を失うことになっていないか心配。十分に予算を準備して、期限までやり切った方がお客様の信頼を得られると思う。
⑧2024年2月期の連結業績予想は、4期ぶりに最終黒字化の予定。ただし、原材料やエネルギー価格の高騰、円安の進行、ウクライナ情勢、コロナウイルス感染再拡大への警戒感に加え、物価上昇による消費マインドの低下など、当社グループ業績への影響が懸念され、先行き不透明な状況が続くものと思われる。また、テレワークの普及を始めとしたアフターコロナに見られる社会活動の変容は、消費者の購買行動の変化へと繋がる為、今後、新たな対応が求められる。
⑨創業者の舟橋政男さん(1934年生まれ、89歳)が退任。舟橋政男さんの長男で元社長の舟橋浩司さんが新任取締役候補となり、選任された。株主総会終了後に、舟橋政男さんから退任の挨拶があったが、一昨年前から高齢を理由に退任を申し出ていたとのこと。創業者ではあるものの、議決権の過半数を握っているわけでもないので、取締役を送り込んでいる筆頭株主のいちごトラスト・ピーティーイーや大株主のご家族が主導して、もう少し早いタイミングで花道を飾る場を用意してあげてもよかったと思う。
⑩質疑応答で、「現状、PBR0.6倍程度。東証からPBR1倍への改善を求められていると思うが、対策は?」との質問あり。「ROEを8%へ上げること、自社株買いや自社株の消却なども対応したい。」との回答。
⑪質疑応答で、「コーポレート・ガバナンスに関する報告書で、株主との建設的な対話に関する方針を打ち出しているが、個人投資家とは対話してもらえず、株主総会で延々と説明するしかない状況。」との意見あり。「機関投資家との対話は積極的に進めていたが、個人投資家との対話は増えていなかったので、改善していく。」との回答。
「動画サイトの掲載など、情報開示の充実に努めます」との記載もあるので、フェアディスクロージャーの観点から、決算説明会動画の公開や、質疑応答の文字起こしの公開をしたほうが良いと思う。
⑫質疑応答で、「棚卸評価損が4年で42億円と多額の廃棄があり心配。」との意見あり。「棚卸評価損は、在庫を厳しめに価額評価をした結果。価額の変更なので廃棄ではない。」との回答あり。
⑬質疑応答で、「赤字であるのに取締役を8名から9名へ増員する理由」について質問あり。「マーケティングが弱いとの認識があり、不足する部分を社外取締役に求めた。」との回答。
⑭質疑応答で、「チヨダにファッション性は求めていない。ベーシックな色や物の在庫が切れないように販売機会ロスの低減をして欲しい。」との意見あり。
⑮社外取締役を含む取締役8名の報酬等の総額は9,400万円。期中に1名分が入替った点、社外取締役の報酬を前期と同等(700万円)として計算すると、単純平均で社外取締役を除く取締役1人当たり1,740万円と推測。
⑯議案の採決方法は拍手での採決。議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したり、事前の議決権行使の具体的な数字を示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。
株主総会を終えて感じたこと
3期連続で赤字が続いていたものの、財務状況良好である点と、今後の黒字復活を期待して、平均699円で投資しました。
今回、実際に代表取締役や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。
株主総会では、元社員の方から、株主として厳しい意見が多く出ていました。退職した会社の株式を7万株も保有しているとのことなので、チヨダの内情を知っている方から見て、多くの課題が見えつつも、期待もできる会社なのだろうと感じました。
個人的な体験としては、東京靴流通センターで、他店ではあまり見かけない透湿防水スニーカーを約5,000円で購入したところ、雨の日を中心に約20日間程度使用しただけで、靴内側の防水シートに擦れで穴が開き、防水機能を失ってしまいました。
カジュアルファッションでの通勤が増えつつあるビジネスマンにとっても、地震時の帰宅支援としても、旅行や海外出張にも、透湿防水スニーカーはとても便利で面白い商品なので、高価格でも品質の良い透湿防水スニーカーの提供を期待しています。
創業者の舟橋政男さんが退任され、今期は会社が変わる過渡期になると思います。閉店傾向が続いており、予断を許さない状況に見えますが、まずは黒字回復を期待して、追加投資も検討します。